訪問看護で行うACPのコツを紹介。意思決定支援の時期と内容、患者さんの思いを引き出すポイントについて解説します。
訪問看護での意思決定支援のポイントは?
訪問看護の対象者は、加齢に伴う身体的・精神的機能の衰えや、疾患が進行してADLが低下するなど、セルフケアに支障をきたしている方々と言えます。そういった特徴をもつ療養者に対して、日常生活の場面での意思決定支援では、表1に挙げた3つの視点が必要です。
表1 日常生活の場面での意思決定支援に必要な視点
①疾患とその方の療養状況から見て、これから起こり得る少し先のことを問いかける
②ご自身が自ら表現できなくなった時のため、普段から「その方ならではの言葉」をたくさん集めておく
③ご本人やその代理人がその能力に応じて決められることを後押しし、決められたことを実現できるようにケアチームでサポートする
訪問看護での意思決定支援の時期と内容は?
ここでは事例をもとに、在宅での意思決定支援の時期と内容について具体的に説明します。
表2はある糖尿病在宅療養者の事例を時間軸でまとめたものです。番号が意思決定支援の時期です。
表2 時間軸と意思決定支援の時期

このケースでは、訪問看護開始時に表1①の、少し先を見通した問いかけを行い、脳梗塞を発症しADLが変化しての退院の時に③を、その後の体調管理時期は②を、心不全を起こして入退院を繰り返す時期①と②を、本人の意思決定が難しくなった時の家族の代理意思決定の時期に③をと、時期によりポイントを押さえてかかわっています。
また、事例の転換期と意思決定支援の時期が、ぶれずに重なっているのがわかります。
訪問看護において患者の思いを引き出すには?
次に、本人とご家族の生活の場であるご自宅で、どのようにご本人から思いを聴き取り、一緒に揺れながら意思決定を支え、意思実現支援につなげていくかを考えます。
私は、ご本人の思いをうまく引き出せるように、部屋に飾ってある写真や絵、思い出の品、絵本やテレビドラマ、時にはニュースを一緒に見ながら話すなど、話の糸口づくりに何らかのアイテムを使うようにしています。
そして、本人の語りが引き出せても、内容はまとまらずあちこちに飛ぶことがあります。そういった場面でも、あくまで解釈はせず、情報を整理・要約してご本人に返します。
尋ねたことに、うまく答えが返ってこなくても無理に答えを求めず、ご本人が話したいことをただ聴き取ります。聴き取ったことが、2つの側面をもっていたとしても、その両方を受け止めます。決められないということを認めて、あいまいさに耐えます。そして、その時語られた内容にではなく、その時そのできごとについてご本人が感じられていたと思われる感情に寄り添います。
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