これだけは気をつけたい看護ケアのポイントを取り上げます。今回は一般用の注射器でインスリン注射をしてはいけない理由を解説。過剰投与の恐れがあり、低血糖、低血糖昏睡につながる危険があります。

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一般用の注射器でインスリン注射をしてはいけない

例えばこんな場合…

医師の指示
●「生理食塩液50mLにインスリン(バイアル製剤)50単位を混注し持続投与」
●「0.5単位/時で管理」

 インスリン製剤は、「バイアル製剤」や「カートリッジ製剤」、インスリンがすでにセットされた「プレフィルド製剤(使い捨て)」など、多くの製剤が販売されています。
 なかでもバイアル製剤を使用する場面として、看護師が患者さんにインスリンを皮下注射するときや点滴に混注するときなどがあります。その際に、注射器でインスリンを吸い上げる必要がありますが、誤って一般用の注射器を用いてはいけません。バイアル製剤を使用するときにはインスリン専用の注射器を必ず用います

 医師からインスリン投与の指示が出た際に、「単位」と「mL」を見間違え、一般用の注射器で投与してしまうと、過剰投与の危険があります。
 インスリンを過剰投与すると低血糖に陥ります。指示の何倍ものインスリンを投与する恐れがあり、最終的には大脳機能の低下が起こり、昏睡を経て死に至ることもあります。

目盛の単位が異なり、正確な量を吸い上げることが難しい

 インスリンは1単位0.01mLときわめて少量です。
 インスリン専用の注射器は1目盛り1単位と細かく目盛りがきざまれています(図1)。しかし、一般用の注射器は、1目盛り0.5~1mLとなっていることが多く、インスリン専用の注射器に比べると1目盛りが大きくなっています。そのため、一般用の注射器を使用して正確な量を吸い上げることは困難です。

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