厚生労働省は5月22日、「令和6年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(令和6年度特別調査)」の結果(速報)を公表しました¹。調査は、令和6年度の診療報酬改定による影響等の検証および次期診療報酬改定の検討を行うため、患者の状態像、受診状況、診療実態等の資料を得ることを目的として行われました(入院医療における調査回収率は49.4%となる2,896施設)。以下に、結果の一部を示します。

令和6年度改定で新たに記載された基準、取り組み等に関する調査

 令和6年度改定において、入院基本料等にかかわる栄養管理体制の基準として、GLIM基準を活用することが望ましいとされています。本調査では、栄養管理手順にGLIM基準を位置づけていた施設の割合は、70.6%でした。

 また、令和6年度改定で新設された身体的拘束を最小化するための取り組みについては、令和6年11月1日時点において、身体的拘束を最小化するための指針を策定している施設は90.9%、身体的拘束の実施・解除基準を策定している施設は90.1%でした。具体的な取り組みとして、「身体的拘束実施の態様及び時間、その際の患者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録すること」を行っている施設が83.8%、「指針の作成及び周知」を行っている施設が73.7%、「身体的拘束最小化チームの設置」を行っている施設は72.9%でした。

看護職員の労働環境・業務負担に関する調査

 医療従事者の負担軽減についても、令和6年度改定による影響の調査・検証を行うとともに、実効性のある取り組みにつながる評価の在り方等について検討が進められています。

 看護の業務負担について、病棟の業務負担軽減を行っている病棟は72%でした。病棟の業務負担軽減に「取り組みたいが困難」な理由としては、「看護職員の人材不足」が最も多く、次いで「他職種の人材不足」となっています¹。

 看護記録にかかる負担軽減の取り組みを実施している病棟は63.4%であり、記録内容の簡素化・見直しについて多く取り組まれています。ベッドサイドで記録できるシステム・仕組みの導入(タブレットやモバイルPCの活用)の他、バイタルデータ等の自動入力システムの活用が進められています()¹。

 看護職員と看護補助者の業務分担も進められており、急性期看護補助体制加算・看護補助体制充実加算を算定している場合、直接的ケア(清潔・整容、移乗など)について看護職員と看護補助者の協働が進んでいます。ADLや行動の見守り・付き添いは看護職員が主に担当している割合が高い結果となりました。

1.厚生労働省:令和6年度調査結果(速報)概要.
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001496472.pdf(2025.6.20アクセス)