肺炎の全体像と基礎知識をわかりやすく解説!定義と症状、重症度評価や、市中肺炎や院内肺炎、誤嚥性肺炎、人工呼吸器関連肺炎といった分類など、看護師が知っておきたい大事なポイントをまとめました。

●肺炎とは?
●肺炎の症状
●肺炎の分類
●肺炎の診断

肺炎とは?

 肺炎は、肺実質の急性の感染性の炎症である1。
 肺炎はわが国の死因の第5位、誤嚥性肺炎は第6位となっている(令和7年人口動態統計)。

肺炎の症状

 肺炎の症状などを表1に示す。

表1 肺炎の特徴的な所見

呼吸器症状
●咳嗽 ●喀痰 
●呼吸困難 ●胸痛

全身症状
●発熱 ●倦怠感
●食思不振 ●意識障害

呼吸音の聴診
●クラックル

バイタルサイン
●発熱 ●頻脈 ●頻呼吸
※重症になると意識障害、ショック

血液検査
●好中球優位の白血球増多
●炎症反応(CRP・赤血球沈降速度・プロカルシトニンの上昇)

胸部X線検査
●細菌性肺炎の場合、気管支鏡透亮像を伴う浸潤影

(文献1を参考に作成)

肺炎の分類

 肺炎は発症場所によって、①市中肺炎(community-acquired pneumonia:CAP)、②院内肺炎(hospital-acquired pneumonia:HAP)、③医療・介護関連肺炎(nursing and healthcare-associated pneumonia:NHCAP)に分けられる(表2)。

表2 発症場所による肺炎の分類

市中肺炎(CAP)
●基礎疾患を有していない、あるいは軽微な基礎疾患を有している人が病院外で発症した肺炎
●入院後48時間以内に発症したものも含む

院内肺炎(HAP)
●入院後48時間以上経過してから新しく発症した肺炎

医療・介護関連肺炎(NHCAP)
●定義は次の①~④の通り
①長期療養型病床群もしくは介護施設に入所している(精神科病棟を含む)
②90日以内に病院を退院した
③介護(PS3以上)を必要とする高齢者、身障者
④通院にて継続的に血管内治療(透析、抗菌薬、抗がん化学療法、免疫抑制薬などによる治療)を受けている
●高齢者の誤嚥性肺炎が多い

 院内肺炎のうち、気管挿管・人工呼吸器開始後48時間以降に新しく発症した肺炎を人工呼吸器関連肺炎(ventilator-associated pneumonia:VAP)と呼ぶ。

 肺炎は原因菌から細菌性肺炎と非定型肺炎に分類される。それぞれ有効な治療薬が異なり、細菌性肺炎ではβラクタム系、非定型肺炎ではマクロライド系、キノロン系、テトラサイクリン系が有効である。

 また、ADLや全身機能の低下を有する場合に認められやすい嚥下機能障害を背景に起こる肺炎を、誤嚥性肺炎と呼ぶ。

肺炎の診断

 市中肺炎の重症度はA-DROPシステムで評価する(表3)。

表3 A-DROPシステム

Age
男性70歳以上、女性75歳以上

Dehydration
BUN21mg/dL以上または脱水あり

Respiration
SpO290%以下(PaO260Torr以下)

Orientation
意識変容あり

Blood Pressure
血圧(収縮期)90mmHg以下

軽症:上記5つの項目のうちいずれも満たさないもの。
中等症:上記項目の1つまたは2つを有するもの。
重症:左記項目の3つを有するもの。
超重症:左記項目の4つまたは5つを有するもの。ただし、ショックがあれば1項目のみでも超重症とする。

(文献2より引用)

 院内肺炎の重症度はI-ROADで評価する1。1の生命予後予測因子(I-ROAD)を3項目以上満たす場合は重症、1が2項目以下で2の肺炎重症度規定因子を満たす場合は中等症、満たさない場合は軽症。

1 生命予後予測因子(I-ROAD)

I:悪性腫瘍または免疫不全状態
R:SpO2>90%を維持するためにFiO2>35%を要する
O:意識レベルの低下
A:男性70歳以上、女性75歳以上
D:乏尿または脱水

2 肺炎重症度規定因子

①CRP≧20mg/dL
②胸部X線画像陰影の拡がりが一側肺の2/3以上

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1.日本呼吸器学会成人肺炎診療ガイドライン2024作成委員会編:成人肺炎診療ガイドライン2024.日本呼吸器学会,東京,2024.
2.日本呼吸器学会呼吸器感染症に関するガイドライン作成委員会編:成人市中肺炎診療ガイドライン.日本呼吸器学会,東京,2007.

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※この記事は『エキスパートナース』2022年11月臨時増刊号を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。