9月29日、厚生労働省が「令和8年版厚生労働白書」を公表しました。医療・介護・福祉現場における、ICT、AIなどテクノロジーの活用の取り組みなどが紹介されています。

2040年を見据えた課題や、看護業務の効率化の事例などを掲載

 「厚生労働白書」は、厚生労働行政の現状や今後の課題などについて、国民に分かりやすく周知することを目的にとりまとめられたものです。その年ごとのテーマを設定した第1部と、厚生労働行政の施策をまとめた第2部の2部制となっています。

 令和8年版の第1部のテーマは、「これからの医療・介護・福祉の現場で働くことを考える」。テクノロジー(ICT、AI、ロボット等)の活用による生産性の向上についての現場の取り組みが紹介されています。

 第1章では、「医療・介護・福祉を支える現場の現状と、2040年を見据えた課題と対応の方向性」を解説。医療・介護・福祉サービスの需要量の増減やピークの時期は地域によって異なり、需要の質も変化するなかで、地域の医療・介護・生活支援が一体的に提供される体制の再構築が求められるとしています1。限られた人材でサービスを維持するため、職場環境改善や働き方改革とともに、テクノロジーを活用した業務の効率化、生産性向上に向けた取り組みが重要だと示されています1。

 第2章では、「2040年に向けた、医療・介護・障害福祉の現場における取組み―テクノロジー(ICT、AI、ロボット等)の活用による生産性向上―」を解説。テクノロジーの活用の導入状況やその効果、課題と政府の取り組みが紹介されています(表)1。

 テクノロジーを導入した看護業務の効率化の主な例として、転倒・転落予測システムAIや物品搬送ロボットの導入、スマートフォンの音声入力システムによる看護記録の効率化などが取り上げられました。

表 医療現場におけるテクノロジーの活用

導入状況
●診療報酬請求や資格確認等の基盤的な業務領域では普及
●診療や看護といった現場業務に直結する技術※については限定的
※音声入力、AI問診、画像診断支援AI、見守り機器等

導入効果
●業務負担軽減、業務効率化、時間外労働の削減、職場環境改善
●医療安全・安全性の向上
●創出された時間の再配分と医療・支援・ケアの質の向上
●運営への波及

課題と政府の取り組み
●事業規模や経営基盤の違いによる導入差
●導入負担
●導入後の運営・定着を支える人材・組織体制の構築
●セキュリティ等の課題
⇒診療報酬制度・補助金等による導入支援を実施し、医療DXや省力化投資を推進

(文献1を参考に作成)

 まとめとして、テクノロジーは導入するだけでは成果は得られず、現場の主体的な業務改革と一体となって初めて効果を発揮するため、現場の主体的な取り組みと、それを後押しする政府の支援や関係機関の協力が重要との考えが示されています1。

1.厚生労働省:令和8年版厚生労働白書 概要版.
https://www.mhlw.go.jp/content/001751233.pdf(2026.9.30アクセス)

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