せん妄の診断は主観に影響され、医療機器では測定できません。せん妄の評価が難しい理由や、せん妄を評価するポイントを解説します。
せん妄の評価が難しい理由
一般的な臓器不全では症状だけでなく、観察しやすいバイタルサインや定量できる検査で評価や診断をします(ガイドラインなどで基準値が定義されている)。
しかし、「せん妄=急性脳不全」に関してはスタンダードな客観的検査はありません。“信頼性がある”とされているスクリーニングツール(CAM-ICUやICDSCなど)はあり、これは精神科医の診察と一致するということですが、精神科医の診断自体が主観に依存し、血液検査、画像検査などと比べると再現性や信頼度が低いとされます。かろうじて脳波検査などは行われますが、手軽にスクリーニングなどに使えるものではありません(表1-③)。
また、症状の評価も質問紙などはありますが、評価者の主観に影響されます(表1-②)。検査として症状評価をするにしても、研究では質問紙で点数をつけますが、過活動型せん妄で激しい症状がみられ、質問紙で点数が高くても、脳の機能不全が重度とは限らないことがあります。
せん妄が難しい理由の1つはこの主観に頼った診断や、評価法に頼らざるを得ないところです。実際、軽い意識障害や注意力障害では専門家でも評価が分かれたり、判断に悩むことは少なくありません。
表1 せん妄と他の臓器不全の比較

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せん妄を評価するポイント
看護師によるせん妄の判断の感度は15~31%、特異度は91~99%と報告1されています。つまり、看護師がせん妄と判断したらほとんどせん妄ですが、せん妄がないと判断した場合は7割以上せん妄を見逃している計算になります。
また、医師も的確な診断ができるとはいえない点があります。例えば、精神科の医師は注意力、意識、精神症状の評価はより正確ですが、せん妄診断に必須の身体疾患など、原因の同定は得意といえません(図1-②)。加えて、医師は患者さんと接する時間が短いため変動の激しいせん妄を見落とすなどの欠点があり、これは身体科の医師(図1-③)も同様です。
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