せん妄のメカニズムを知れば、効果的な対応・ケアが見えてきます!今回はせん妄患者とその家族への教育と支援について解説。せん妄になりやすい要因や主な症状など、説明のポイントを紹介します。

せん妄が心理的な問題ではないことを、患者・家族に理解してもらう

 医療関係者でも理解が難しいところのあるせん妄は、患者さんや家族にとってはより理解しがたいものです。いつもと同じ外見であるのに、不可思議な言動や、幻覚・妄想などで取り乱す姿は家族、そしてせん妄から回復した本人にとって心理的な苦痛になります。

 人間は理由や原因を分析する特徴があり、せん妄を含め病気に対して自分の責任と感じ罪悪感を抱いたり、薬や医療者の問題に置き換えるなど、他責的な態度をとったりすることがしばしばあります。

 しかし、原因が努力では改善できない身体疾患・外的要因と理解できれば、このような事態は避けられます。HELP1などせん妄予防プログラムでも教育を取り入れており、パンフレットなどでせん妄について患者本人、家族に説明・教育することが効果的です。

家族に説明しておくとよいこと

1)せん妄になりやすい要因(主なリスク)

  • 高齢
  • 脳卒中
  • 認知症やせん妄の既往
  • 薬、手術、感染症

※最近の物忘れ、以前の入院での異常な言動の有無も確認

2)せん妄の主な症状(わかりやすく伝える)

  • 時間や場所の感覚異常
  • 幻覚
  • 睡眠リズムの異常
  • 落ち着きのなさやイライラ
  • つじつまが合わない言動
  • 入院や治療を理解できず転倒する
  • 点滴を自己抜去してしまう

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