Q. 働きながら更年期障害とうまく付き合うためのコツは?

ひとこと回答
 まず、調子がよくないときに、ちゃんとそのことに気づいて手当すること。これが第一歩です。更年期は女性の弱り目ですが、ケアするとよくなることを「知っておく」のも大事です。

マルチタスクな更年期女性

 女性は、仕事、家事、育児、介護、地域活動とたくさんの仕事をこなしていることが多いです。そして、そのほとんどは「誰かのためのお世話」かもしれません。

 更年期には、「自分しかやる人がいない」と思い込み、「これくらいの不調は不調ではない」「これくらいの不調で休んだりしてはいけない」と、せっかく体が出しているサインを無視してしまっていることも多いのです。 

 結果、朝動けなくなるほど倦怠感が強くなったり、歩けないほどのめまいが月に何度も起こるなど、重症になってから相談にくる患者さんも少なくありません。

 大切なのは、まず、自分のこころと体に向き合うことだと思います。軽度のものであっても、「しんどいな」と思うことがあれば、楽になるようにこまめに手当をすること。しんどいときには人の体より自分の体を優先して、タスクを周囲に振り分けること。更年期の乗りこなし方で、それが一番大切かもしれません。

「そうはいっても……」と思われる方も多いと思います。しかし、ご存知でしょうか。今、介護を受けている人の7割は女性1。介護の理由は、骨折や関節疾患がトップです。もし、一人ひとりの女性が自分自身の運動や食事など健康的な生活に投資して、骨折などを予防できれば、社会全体の介護負担は随分減ります。

 更年期を過ぎると、更年期の症状が出る人も出ない人も、骨塩量(骨に含まれるカルシウムの量)が減り、脂質代謝は悪くなり、血圧が上がります。更年期に自分の体と向き合い、調子をよくするために投資をはじめることは、自分自身のためだけでなく、社会全体のためになるのです。