看護師が日常ケアの延長でできるリハビリテーション“ちょっとリハ”とは?今回は、患者さんの気持ちを前に向けるため、看護師ができる声かけのポイントを紹介します。

気持ちを“前に向ける”ための、声かけのポイントは?

 病棟での生活は刺激が少なく、毎日同じパターンの繰り返しです。あるいは入院して、「これからどうなるのか」という不安を抱えている患者さんも多くいます。
 そのような不安のなかで、ちょっと意識して声かけをするだけで、患者さんが前向きな気持ちになることがあります。

「がんばって」は使わない

 「がんばって」はリハに患者さんが向かうときや、弱音を吐いているときに、よくかける言葉かと思います。

 しかし裏をかえせば、「『あなた(患者さん)が』がんばって」という意味合いをもっており、かなり突き放した言い方になってしまいます。 病気を治療してリハビリを行うためには、本人の努力だけでどうにかなるものではありません。
 特に、自宅に帰って生活をするためには多職種の協同が必要になります。

「がんばろうね」で寄り添う

 そのためにもぜひ、声かけは、「がんばろうね」に変えてみてください。

 「がんばろうね」は「(私たちと一緒に)がんばろうね」という寄り添った意味に変わります。「がんばって」を「がんばろうね」に変えるだけで、1人で努力しなくてはならない孤独な状態から、たくさんのスタッフにあと押しをしてもらっている状態に変わります。

 もちろん、病棟スタッフだけでなく家族が同じ声かけをすることにも、同じ意味があります。

1.小山珠美:経口摂取標準化ガイド̶脳損傷に伴う摂食 ・嚥下障害.日総研出版,愛知,2006.
2.西尾正輝:摂食嚥下障害の患者さんと家族のために,改訂第3版.インテルナ出版,東京,2008.
3.稲川利光編:ナーシングケアQ&A 病棟でできるリハビリテーションの基礎知識Q&A.総合医学社,東京,2013.

※この記事は『エキスパートナース』2013年9月号特集を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。