抗がん薬や放射線の治療開始にあたっては必ず得られる益(ベネフィット)と害(リスク)を考慮しなければなりません。今回は、肺と肝臓における急性期合併症の最新動向を解説します。
●がん治療により起こる肺毒性については、呼吸器系の併存疾患や既往歴の問診と症状の観察が重要である。
●抗がん薬・放射線治療中~治療後の咳・呼吸困難・発熱は、肺臓炎の症状かもしれないと疑う。
肺毒性の概要
抗がん薬・放射線による肺臓炎(感染性のものでない、間質などに生じる肺組織の炎症のこと)が最も重要ですが、臨床的には感染症による肺炎や心不全による肺水腫などとの鑑別がポイントとなり、呼吸器系の併存疾患や既往歴の問診と症状の観察が重要です。
また、既存の肺臓炎の存在は、重症化のリスクが高いので注意が必要です。最近は免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による肺臓炎も増えています。
肺障害に注意が必要な抗がん薬
肺障害に注意が必要な抗がん薬を以下に示します1,2。
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