ワケがあって医師がオーダーしている画像検査。臨床場面でナースがとりたい画像からの情報をわかりやすく示します。第49回は、腹痛の患者で腸管穿孔を疑い、フリー・エアーがないかを画像で見るポイントについてです。
腹痛の患者での画像の着目ポイントは第47回を参照ください。
腸管穿孔を疑って、フリー・エアーがないか見ている
腸管への血管がつまると穿孔の恐れ
腸閉塞の中でも絞扼性イレウスと呼ばれる状態では、腸管を栄養する血管そのものの首が何かしらの機序で締められてしまい、腸管に血が通わなくなります(腸管虚血)。この状態を放置すると腸が壊死してしまい、腸に穴があきます(穿孔)。
穴があいたところからは腸内の便汁(腸液や内容物)やガスが漏れることになります。腸内の便汁には細菌が含まれていて、漏れ出た場所には腹膜がありますので、それらの細菌により腹膜炎が起きます。そこから敗血症性ショックとなると致死的です。
このように頭に描けると、腹痛の訴えのある患者さんの腹部画像では、いかに穿孔を見逃さないかが大切だとわかります。腸管穿孔の画像所見について以下にまとめます。
画像検査では「フリー・エアー」(黒色)を探す
腸管穿孔の画像所見といえばフリー・エアーです。胸部X線を立位や座位で撮影して、肝臓の上表面に黒い影があり、その上に横隔膜がある場合は腸管穿孔を疑います(図1)。
こういった、本来ないはずの場所にある含気像をフリー・エアーと呼んでいます。
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