認知症患者さんの移乗・ポジショニングの際の注意点を、具体例を挙げて紹介。 柵をつかんで手を離してくれない場合、良肢位を保持できないときについて、写真とともに解説します。

移乗を怖がり、柵をつかんで離さない場合

Q. 移動の際に、 柵をつかんだままなかなか手を離してくれない場合のコツは?

ひとこと回答
できるだけリラックスさせるポジショニングは試す価値あり。

 そのような患者さんには、長い間不適切なケアを受け続け、恐怖と緊張にさいなまれ続けてきたつらい過程があったのかもしれません。まず何より、本人を怖がらせず、緊張させないよう、ていねいな身体ケアを心がけることは不可欠です。

 そのうえで、緊張が亢進した姿勢をできるだけリラックスさせるポジショニングは試す価値があると思います。例えば、側臥位で柵をつかんで離してくれない場合(図1-左)、上側になった上肢 ・ 下肢をクッションで広く支えると、力みがゆるみ、柵から手を離しやすくなることもあります(図1-右)。

図1 柵をつかんだ状態(左)、クッションで支えた状態(右)

図1 柵をつかんだ状態(左)、クッションで支えた状態(右)

ポジショニングしても良肢位を保持できないとき

Q. ポジショニングしてもすぐに体をずらしてしまうなど、良肢位を保持できない場合に、車いすの選択以外にできることは?

ひとこと回答
まずはクッションで重さを適切に支えているかどうか確認を。

 すぐに体をずらしたり、クッションを外してしまうのは、その状態が本人にとって「安楽ではない」ためと思われます。なんとなくクッションが何個か入れられてはいるものの、それらがほとんど支えになっていない場合、本人にとってそれらのクッションは「じゃまなもの」でしかありません(図2-左)。

 まずは【第1回】ベッド上姿勢で述べたように、クッションがしっかりと支えるべき場所の重さを支え図2-右)、安楽な寝姿勢をサポートできているかどうか確認しましょう。

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