CKD重症度分類や国際的な表記との整合性を重視

 日本糖尿病学会は1月23日、「糖尿病性腎症病期分類2023の策定」を公表しました¹。改訂は2014年以来です。近年の高齢化や肥満者の増加、糖尿病や高血圧症に対する新規治療薬の開発などを背景に、糖尿病患者に合併した腎臓病が多様化していることを受けて検討されました²。

 今回の改訂では、CKD(慢性腎臓病)重症度分類や国際的な表記との整合性を重視し、次のとおり病期名が変更されました²。糖尿病性腎症は、必ずしも第1期から順次第5期まで進行するものではありません²。しかし、第1~5期という表記は広く認知され、糖尿病透析予防指導管理料などの基準にも用いられていることから、今回の改訂でも表記が残されました。

病期名の変更

変更前(糖尿病性腎症病期分類2014)→変更後(糖尿病性腎症病期分類2023)
第1期(腎症前期)→正常アルブミン尿期(第1期)
第2期(早期腎症期)→微量アルブミン尿期(第2期)
第3期(顕性腎症期)→顕性アルブミン尿期(第3期)
第4期(腎不全期)→GFR高度低下・末期腎不全期(第4期)
第5期(透析療法期)→腎代替療法期(第5期)
(文献2を参考に作成)

 また、糖尿病患者におけるCKDは、糖尿病性腎症病期分類とCKD重症度分類の双方で評価することが望ましいとの注釈も加えられました²。
 アルブミン尿や推算糸球体濾過量に基づく分類方法に関しては改訂のエビデンスが十分ではないとして、基本的な枠組みは変更されていません。

1.日本糖尿病学会:「糖尿病性腎症病期分類2023の策定」を発表しました.
http://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?content_id=346(2024.2.20アクセス)
2.糖尿病性腎症合同委員会・糖尿病性腎症病期分類改訂ワーキンググループ:委員会報
告 糖尿病性腎症病期分類2023の策定.糖尿病 2023;66(11):797-805.