毎日行うからこそ、さらにいい方法があれば知りたい口腔ケア!今回は口腔乾燥への対策や、口腔保湿剤の選び方と使い方についてです。

保湿剤は“加湿効果”か“保湿効果”、どちらを得たいかで使い分ける

 保湿剤は、正常な唾液分泌が認められる患者には不要ですが、口腔乾燥のある患者に対して使用すると効果的です(【第8回】参照)。
 口腔乾燥への対策は、以下が原則です。

●汚染物を軟化させる
●汚染物を除去 ・ 回収する
●粘膜を保湿する

 
 口腔乾燥の原因は、表1に示すように多岐にわたります。したがって、口腔内が乾燥しているからといって、安易に保湿剤を使用するのではなく、口腔乾燥の原因をアセスメントし、適切な使用を心がける必要があります。

表1 原因別の対応が必要な口腔乾燥

口呼吸(原因 : 顎関節の脱臼、意識レベルの低下、麻痺、廃用症候群、経口挿管中など)
●顎関節脱臼の場合は、早期に歯科への依頼を行う(症状としては、面長の顔となり、上下の唇が閉じられなくなり、顎関節部に痛みや緊張感がみられる。また、耳前の顎関節部は陥凹し、その1~2cm前方が隆起する)
●意識レベルの低下や麻痺等が原因の場合は、開口しないように頸部の位置などの姿勢調整を行う
●閉口できない場合は、室内環境を調整し、保湿効果の高い保湿剤の使用やマスク等による保湿法を併用する

内服薬
●一般に薬剤による口腔乾燥は可逆的であり、薬物の使用を中止することで正常もしくはそれに近い唾液分泌量に戻るため、医師・薬剤師とともに薬剤の中止や代替薬への変更を検討する
●薬剤を中止・変更できない場合は、唾液腺のマッサージや保湿剤を使用する
*唾液腺マッサージは、唾液分泌量の少ない患者に行うと、強制的に唾液を排出してしまい、結果的に口腔内乾燥を助長させてしまうこともあるため、注意が必要。

シェーグレン症候群などの疾患
●原疾患の治療と口腔乾燥症改善薬(サリベート®エアゾール〈人工唾液:スプレータイプ〉、サラジェン®錠、サリグレン®カプセル、エボザック®カプセル)が処方される
●日常生活指導としては、唾液の分泌を促すような食品(梅干し、レモンなど)を積極的に摂取。逆に香辛料などの刺激性のものや口腔粘膜に付着しやすい食品は避けるようにする
●口腔乾燥を少しでも抑えるように、口腔ケアの方法や保湿剤の正しい使用方法を指導する
●保湿剤を使用する際には、唾液の分泌自体が減少しているので適切な加湿を心がける

頭頸部放射線治療による影響
●頭頸部放射線治療による口腔乾燥は、放射線照射2週間目ぐらいから始まり、照射終了後も数年間持続することがある
内服薬(サラジェン®錠)が処方される場合がある。その他の対応としては、基本的にシェーグレン症候群の対応に準ずる
●影響として味覚障害もあるが、可逆的のため放射線治療が終了すれば、ほとんどの場合、時間経過とともに改善するとされる

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