検査・治療の帰室後の急変に注意!今回は血液透析(HD)の目的や、帰室時に注意したい血圧の変動について解説します。
血液透析(HD)の目的は体内の環境を整えること
腎臓は体内の恒常性(ホメオスターシス)を司る重要な臓器で、機能は大きく分けて以下の3つがあります。
- 老廃物の排泄
- 体液の調節(水分、電解質、酸・塩基平衡)
- ホルモンの産生分泌(エリスロポエチン、レニン)、ホルモンの調整(ビタミンDの活性化)
腎不全に陥るとこれらのはたらきが機能せず、さまざまな症状(血圧異常、頭痛、消化器症状、味覚異常など)を引き起こします。このような症状を尿毒症症状といい、日常生活への支障、重篤になると「意識障害」「心不全」などの生命危機をもたらします。
この状態を改善し体内の内部環境を整えるために実施されるのが「透析療法」です。透析療法は、前述の腎機能のうち「①老廃物の排泄」「②体液の調節」を人工的に行う治療であり、腎代替療法ともいいます。ただし、透析では代替できない腎機能が「③ホルモンの産生分泌、ホルモンの調整」で、これらについては薬物療法が継続されます。
透析療法には、大別すると「血液透析(HemoDialysis、HD)」と「腹膜透析(PeritonealDialysis、PD)」の2種類がありますが、本項では病院内の透析部門で行われる血液透析(以下、「透析」と表記する)について述べます。
●腎不全状態(尿毒症など)
●心血管系の合併症
●貧血
●感染症
拡散と(場外)濾過が行われる
透析は患者の状態にもよりますが、多くは“週3回、1回につき約4時間”行います。流れは以下の通りです。
①透析前の体重測定(立位、車椅子、臥位)
②バスキュラーアクセスへの穿刺、回路接続
③透析治療開始:患者観察(血圧低下、不整脈、アナフィラキシーショック、血流不良、筋けいれんなどの症状)や、呼吸や排泄などの身体的援助、安全確認などを行う
④透析治療終了:透析回路からの投薬、治療時間や除水が完了していることを確認、バイタルサインの異常の有無を確認
⑤抜針、カテーテルの接続を外す
⑥透析後の体重測定(透析前の体重との差、目標体重に到達したのかどうか)
⑦帰室(異常がなければ帰室)
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