「脳」と「麻痺」の基本と応用について解説!今回は麻痺のある患者さんに行う車椅子への移乗・移送について紹介します。
車椅子で行動が広がれば、膿瘡性が引き出せる
麻痺や感覚障害など脳血管障害をも患者さんにとって、車椅子はその後の生活やリハビリに大きな役割を果たします。車椅子のみならず、ベッドから離れて座ることによって、立ち上がりの動作ができ、手を自由に動かすこともできます。そして、景色が広がることによって周囲の環境を認識し、生理的欲求が高まります。
また、交流の幅が広がることによって他者との関係性が変化し、自尊心が維持されます。車椅子に座ること、そして移動手段を得ることによって行動が拡大し、能動性が引き出されるわけです。
私たちはベッドから起き上がり、ベッドの横の椅子に座ろうとしても、それほど苦痛を感じません。それは、意識せずに手や足が自由に動くからです。同様に、高次な脳機能が保持されているため、「椅子に座る」という動作をしっかりと目的をもって行うことができます。
しかし、麻痺や感覚障害、高次脳機能障害があると、それらの行為は途端に難しくなります。私たちにとって簡単に見える動作でも、患者さんにとってはとてつもない“ミッション”なのです。
ベッドからの起き上がり動作のポイント
患者さんは健側の力を利用します。ベッドから起き上がる際には、健側へ寝返りを行い、健側の腕でマットを押し返して起き上がります。
もともと麻痺がある患者さんであれば、慣れた動作かもしれません。しかし、新たに麻痺を生じた患者さんは、この動作に慣れていません。だからと言って、看護師がすべてを介助しては、患者さんのためになりません。どのように起き上がると楽にできるのか? 患者さんとともに考え、一番よい方法を習得してもらうことが退院後の生活につながります。
この記事は会員限定記事です。