川嶋みどり 看護の羅針盤 第143回

　20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 （ライフサポート社、2020年）。　

　この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

　医療の高度化は医学の進歩があるからこそのものです。また、効率化も、かつては1週間入院しなくてはいけなかったような病気も、医学の進歩によって1日とか2日で退院できるようになるなど、決して悪いことではありません。

　でも、それによって医療の場で働く私たちは日々の忙しさに忙殺され、知らないうちに人間性を失っていくような状況に置かれています。医療の高度化と効率化には、人間性の喪失の危機が潜んでいます。

（出典：『看護技術の基礎理論』142ページ、ライフサポート社）

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