これだけは気をつけたい看護ケアのポイントを取り上げます。今回は高流量システムであるネブライザー付き酸素吸入器での酸素療法について。酸素濃度調節ダイヤルを100%にしても、100%の酸素投与はできないので注意が必要です。

ネブライザー付き酸素吸入器で100%の酸素投与はできない!

例えばこんな場合…

患者の状態
●SpO2低下
医師の指示
●「インスピロン®ネブライザーで100%酸素投与」の指示
●酸素流量計で15L/分の酸素を流す

やってしまうと…30L/分以上の高流量が必要なのにトータル流量は15L/分に低下

インスピロン®の酸素濃度は50%まで

 ネブライザー付き酸素吸入器は、酸素吸入と同時にネブライザー機能を兼ね備えており、開胸術後などで喀痰喀出困難な患者さんに対して、酸素吸入とともに十分な加湿をすることが可能になります1。ネブライザー付き酸素吸入器は「高流量システム」に分類されます(図1)。高流量システムとは、酸素と室内気をあらかじめ混合し、30L/分以上の高流量を作り出すため、患者さんの1回換気量以上の流量が流れるものです。そのため患者さんの呼吸パターンに左右されず、一定の吸入酸素濃度が供給されます。

図1 ネブライザー付き酸素吸入器(高流量システム)の構造
●ネブライザー付き酸素吸入器は、ベンチュリ効果を利用し、酸素濃度調整ダイヤルで酸素と室内気を調整する(下図
●加湿部分では霧吹きの原理で微粒子化した蒸留水と混合酸素を混合する

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