川嶋みどり 看護の羅針盤 第145回

　20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 （ライフサポート社、2020年）。　

　この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

　ある種の薬や注射のような即効性をもち合わせない看護技術は、その結果を検査データに読み取ることもできない。緩慢ではあっても、地道な実践の積み重ねをしていくのみである。

　その看護の評価は、患者の闘病姿勢の変化や苦痛の緩和などにより部分的には客 観化できても、まだその大半は患者自身の表現にまつことになる。その意味でも、看護の教師は患者であるということになろう。

（出典：『看護の自立 現代医療と看護婦』11ページ、勁草書房）

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