川嶋みどり 看護の羅針盤 第159回

　20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 （ライフサポート社、2020年）。　

　この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

　社会的存在としての人間は、たとえ病気や障害があっても、さまざまな人々とのふれあいや、自分の残存機能を用いて他人を気遣い相手のことを思いやる存在として生きている。

　生活行動の一部を他人にゆだねていても自己実現のために努力したいと願っている人も多くいる。そのことを十分に理解し、広い視野から援助する必要がある。

　高齢者や意識障害の患者の場合でも、栄養や排泄に気を配り、褥瘡を作らなければそれで良いというものではない。その人自身の可能性を発見し、その可能性を発揮できるような援助が必要なのだ。

（出典：『いま、病院看護を問う 看護の時代1』15ページ、勁草書房）

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