厚生労働省の認知症普及啓発事業の一環として制作されたショート・ドキュメンタリー『one day of life』の完成披露イベントが都内で開催。ナレーションを務めた俳優の貫地谷しほりさんらが登壇しました。
認知症とともに生きる当事者の「1日」を映した作品
厚生労働省公式YouTubeチャンネルにて、9月8日より配信されている認知症普及ショート・ドキュメンタリー『one day of life』。認知症とともに生きる2人の当事者の「1日」に密着したドキュメンタリーです。
“高知編”では、3人の子どもを育てるなか、41歳で若年性認知症と診断された山中しのぶさん、“香川編”では72歳で認知症と診断された渡邊康平さんが主人公となっています。
9月は世界アルツハイマー月間・認知症月間ということで、9月7日に完成披露上映&トークイベントを実施。貫地谷しほりさん、山中しのぶさん、山国秀幸プロデューサーが登壇しました。

「腫れ物扱いをされなくてよかった」との言葉が印象的
本編の感想を聞かれると、山中さんは「普段はなかなか聞けない子どもたちの声を聞けて、母としてうれしい気持ちになりました」とコメント。
ナレーションについて、貫地谷さんは「見た方々が自分たちで解釈することをじゃましないよう、感情移入しすぎないことを心がけました」と振り返りました。
自分らしく生活するために心がけていることとしては、「認知症になる前は、しんどいときにしんどいと言えない性格で、まわりの人から頼られるほうだったんですよ。でも、認知症になってからは自分の苦手なことを素直に相手に伝えるようにしています」と山中さん。
それでもつらいときは、『one day of life』というタイトルのように、「次の日はくる、明日は今日よりいいことがあると、自分のなかで消化するようになりました」と話しました。
貫地谷さんは、劇中での山中さんの「腫れ物扱いをされなくてよかった」という言葉が印象的だったとのこと。
「当事者ではない人は、寄り添ったほうがいいのかなと、いつもと違う発想をしてしまいがちだと思います。でも、人と人としてかかわるだけなのだとあらためて感じました。薬を飲み忘れていないかをスタッフが確認したときの山中さんの『ありがとう』という受け取り方もすごくナチュラルで。『言ったら大丈夫なのかな』ではなく、ひと言かけて『ありがとう』で終わる、そうしたコミュニケーションのあり方を学ばされた作品でした」と語りました。

1日1日を大事に生きる認知症の人の想いを大切に
山国プロデューサーは本作の企画について、「『life』は『生活』『人生』のほかに『命』という意味もあります。日々の延長だけれど、とても尊い、かけがえのない1日というコンセプトにしようと考えました」と説明。
「ところが、撮影に行くとタイトルを超えるような愛おしい人たちがたくさんいて。渡邊さんや山中さん、そのご家族と一緒にいる心地よさを感じました。1日1日を大事にしているお二人の姿を見て、皆さんの心に残るものがあればいいなと思っています」と続けました。
本作を多くの人、特に子どもに見てほしいという山国プロデューサー。「山中さんが認知症と診断されたとき、息子さんたちは小学生、中学生、高校生でした。3人の姿やお話から、大人より子どものほうが認知症を偏見なく自然に受け入れて、自然にコミュニケーションをとっているのではと思いました。ぜひ若い人に見てほしいですね」(山国プロデューサー)
さらに、 “香川編”に登場した渡邊康平さんの妻・昌子さんからのメッセージも到着。「認知症になってもおしまいではないし、怖くもない、そして楽しく暮らすことができる、ということを、主人の姿から皆さまへお伝えできたらと思います。そのためには、周囲の人々が本人の想いを大切にすることが一番だと思っています」との言葉が寄せられました。

最後のあいさつでは、山中さんが「皆さんの近くにいる認知症の方にも今日があり、明日があります。その方にもできることがたくさんあるので、一緒にやろうと声をかけて、希望のリレーをつないでいってほしいです」と呼びかけ。
貫地谷さんは、「私も山中さんのようにバイタリティーあふれる人になっていきたい、渡邊さん夫妻のような夫婦になっていきたいと思いました。この作品をたくさんの方に見ていただけることを願っています」と、思いを語りました。

認知症普及ショート・ドキュメンタリー『one day of life』
高知編:15分29秒
香川編:14分55秒
配信日:2026年9月8日(火)14:00
配信先:厚生労働省公式YouTubeチャンネルナレーション:貫地谷 しほり
出演:渡邊康平、山中しのぶ
主題歌:THE CHARM PARK「Amber Eyes」
企画・プロデュース:山国秀幸
監督・撮影・編集:佐々木航弥
制作:ワンダーラボラトリー
製作:厚生労働省
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