9月25日、日本老年医学会がWHO(世界保健機関)の「ICOPE(高齢者のための包括的ケア)ハンドブック」第2版の日本語版を作成しました。

ICOPEのケア手順が4段階に変更

 「ICOPE(Integrated Care for Older People:高齢者のための包括的ケア)」とは、「高齢者の内在的能力と機能的能力を最適化することを支援し、より個人を中心とした協調的なケアに向けて医療的、社会的サービスを方向転換させることを支援する、継続した包括的ケアを提供するためのWHOによるアプローチ」1です。

 健康寿命の延伸をめざして、加齢に伴って起こるさまざまな機能低下を適切に評価し、最適なケアを提供するため、WHOは2019年に「ICOPEハンドブック:プライマリケアにおける人を中心とした評価と手順に関するガイダンス」を発表。2025年に第2版が公表されました。

 主な読者としては、医師、看護師、地域医療従事者、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカー、介護福祉士、理学療法士など、プライマリケアに携わる医療従事者が想定されています。

 日本老年医学会では、2019年版に引き続き、第2版の日本語版を作成。このたび、同会のホームページで公表されました。

 2019年版からの主な変更点としては、ICOPEのケア手順が挙げられています。2019年版では5段階のステップで説明されていましたが、第2版では4段階の構成に変更されました(表)1。高齢者との最初の接点となるステップ1は拡大され、重点が置かれています。

 さらに、介護者自身の健康を確保する必要性の具体例を盛り込む、高齢者の健康と機能的能力にとって重要な要素を追加するなど、地域における高齢者ケアにより役立つ内容に更新されました。

表 ICOPEケア手順

ステップ1
基本評価*
●内在的能力の喪失
●高齢者の健康における重要な要因(社会的支援、介護者への支援、尿失禁など)
●健康と生活習慣に関する助言を提供し、セルフケアを促進する

*基本評価は常に包括的に実施すべきであり、特に内在的能力の低下に対しては十分に行う必要がある。

ステップ2
より詳細な評価
評価の前に
●高齢者の生活、価値観、優先事項、社会経済的背景を理解する
●主要な家族、親戚、友人を特定する
・ステップ2-A:内在能力の低下の評価
・ステップ2-B:病気と危険因子の評価
・ステップ2-C:社会的・身体的環境の評価

ステップ3
個別化されたケアプランを策定する

ステップ4
実施およびモニタリング

(文献1を参考に作成)

1.日本老年医学会:ICOPE(高齢者のための包括的ケア)ハンドブック プライマリケアにおける人を中心とした評価と手順に関するガイダンス 第2版.
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/icope_handbook_02.pdf(2026.9.30アクセス)

この次に読まれている記事

そのほかの連載はこちら

※当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。