【第4回】水封室の管理
【第8回】水封のみ(ウォーターシール)で管理するのはどんな場合?
【第10回】呼吸性変動の大きい・小さいは何を示すの?
【第13回】呼吸性移動はどう観察する?
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Q. 水封室の水位が、いつもより上がった・下がったときは何を疑う?

上昇では無気肺、低下ではエアリークや出血などが疑われます。

通常の範囲(-3~-10cm)を超えて変動する場合は要チェック

 通常、胸腔内の圧は呼吸により変動し、水封部分の液面はそれに伴い上下します(呼吸性変動)。つまり、水封の液面が何cm上がったかが、そのまま胸腔内の陰圧の程度となります。
 しかし、液面の変化の目安を超えて変動する場合や、変動の範囲がそれまでと変わった場合は、以下のような可能性が考えられます。

1)液面の上昇=胸腔内の容量低下

 水封の液面が今までよりも上昇した場合には、胸腔内の容量が低下したことが考えられます。病態としては、無気肺などを発症したことが疑われるため、胸部X線写真の把握や呼吸音の聴取(患側で減弱)などを行い、無気肺の有無を判断します。
 無気肺であれば、体位ドレナージ去痰に努め、改善されるようにケアしていきます。

2)液面の低下=胸腔内の容量増加

 今までの水封の液面よりも低下した場合には、胸腔内の容量が増加したことが考えられ、病態としてはエアリーク第11回参照)や出血の発生が疑われます。
 この場合は、呼吸状態の変化だけでなく循環動態の変化に注意し、変化が急激であればすぐに医師に報告の必要があります。
 そして、血液検査や胸部X線写真、追加処置があれば指示に従い、対処していきます。

1.鈴木一也,他:肺・胸腔・縦隔の解剖生理と肺切除術. 露木菜緒 編, インシデント事例から学ぶ 重症患者のドレーン管理, 急性・重症患者ケア 2013;2(4):813.
1.露木菜緒編:インシデント事例から学ぶ 重症患者のドレーン管理. 急性・重症患者ケア 2013;2(4).
2.二ツ森智子:胸腔ドレナージの管理. 救急看護&トリアージ 2013;4・5月号.

この記事は『エキスパートナース』2018年12月号特集を再構成したものです。
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