災害派遣医療チーム(DMAT)
【DMAT】Disaster Medical Assistance Team
「災害急性期に活動できる機動性をもったトレーニングを受けた医療チーム」と定義されている医療チームです。
1チームは4~6人で、医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職および事務職員)で構成されています。活動期間は移動時間を除き、災害発生からおおむね48時間を基本としています。
災害派遣精神医療チーム(DPAT)
【DPAT】Disaster Psychiatric Assistance Team
自然災害や航空機・列車事故、犯罪事件などの集団災害の後、災害現場に入り精神科医療および精神保健活動の支援を行う専門的なチームです。
チームは、精神科医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職および事務職員)を含めた数名で構成されています。1チームあたりの活動期間は1週間(移動日2日、活動日5日)を標準としています。
災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)
【DHEAT】Disaster Health Emergency Assistance Team
「災害が発生した際に、被災都道府県の保健医療調整本部および被災都道府県等の保健所が行う被災地方公共団体の保健医療行政の指揮調整機能などを応援するため、専門的な研修・訓練を受けた都道府県などの職員により構成される応援派遣チーム」と定義されています。
主な業務は、災害発生時の健康危機管理に必要な情報収集・分析や全体調整などが円滑に実施されるよう、被災都道府県の保健医療調整本部および被災都道府県等の保健所を応援することです。
1チームは医師、歯科医師、薬剤師、保健師などの職種の5名程度で構成されています。また、活動期間は1週間以上を標準としています。
全日本病院協会災害時医療支援活動班(AMAT)
【AMAT】All Japan Hospital Medical Assistance Team
災害の亜急性期(急性期から活動する場合もある)において、災害時要援護者にも配慮した医療救護活動を行える医療チームとして、防ぎえる災害関連死をなくすことを主目的として活動する全日本病院医療支援班のことと定義されています。
1チームの活動期間、構成要員はDMATに準じるとされています。
日本医師会災害医療チーム(JMAT)
【JMAT】Japan Medical Association Team
被災者の生命および健康を守り、被災地の公衆衛生を回復し、地域医療の再生を支援することを目的とした医療チームです。
災害発生時、被災地の都道府県医師会の要請に基づく日本医師会からの依頼により、全国の都道府県医師会が、郡市区医師会や医療機関などを単位として編成されます。
チーム構成要員は医師1名、看護職員2名、事務職員1名を基本とし、活動期間は3日から1週間を目途としています。
日本赤十字救護班
日本赤十字社は、災害時に備えて赤十字病院の医師、看護師などを中心に編成される救護班を全国で約500班編成しています。
災害発生時には、救護班(1班あたりの編成基準は、医師・看護師等6人)や国内型緊急対応ユニット(domestic Emergency Response Unit:dERU)を派遣し、救護所の設置、被災現場や避難所での診療、こころのケア活動などを行います。
国立病院機構初動医療班・医療班
国立病院機構は災害対策基本法に定める指定公共機関であり、災害が発生した場合には、防災業務計画に基づき、国立病院機構独自の判断で初動医療班・医療班を派遣できます。
初動医療班の任務は、避難所などの情報収集と早期の救護活動です。
医療班は、被災地の救護所・避難所等の医療救護活動を行い、地域医療の復興を支援するのが主な役割です。
初動医療班が災害発生後おおむね48時間以内の急性期に活動を開始するのに対し、医療班は初動医療班派遣後に派遣され、初動医療班の救護活動を引き継ぎ、以降地域医療の復興まで継続的に切れ目のない支援をすることになるチームです。
このほかにも、リハビリテーションを専門とする日本災害リハビリテーション支援協会(JRAT)や、栄養に関する災害支援を行う日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)などがあります。
さまざまな医療チームがありますが、共通して言えることは、どの医療チームも被災者のために活動することを目的としています。
それぞれ組織は違いますが、情報共有をしっかりと行い、連携し、効率的に被災地で保健医療活動が行われることが求められます。
- 1.厚生労働省:大規模災害時の保健医療活動に係る体制の整備について.
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000197833.pdf(2024.2.9アクセス)
- 1.厚生労働省:災害時における医療体制の充実強化について.
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000089039.pdf
2.厚生労働省DMAT事務局:日本DMAT活動要領.
http://www.dmat.jp/dmat/katsudoyoryo.pdf
3.厚生労働省:災害派遣精神医療チーム活動要領.
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kokoro/ptsd/dpat_130410.html
4.厚生労働省:災害時健康危機管理支援チーム活動要領について.
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000198472.pdf
5.全日本病院協会:公益社団法人全日本病院協会AMAT活動要領.
https://www.ajha.or.jp/hms/amat/pdf/170606a.pdf
6.日本医師会:防災事業計画 別紙 JMAT要綱.
https://www.med.or.jp/doctor/report/saigai/jmatyoukou20180901.pdf
7.日本赤十字社ホームページ.
http://www.jrc.or.jp/
8.独立行政法人国立病院機構ホームページ.
https://nho.hosp.go.jp/index.html(上記はすべて2024.2.9アクセス)
「医療・看護の知っておきたいトピック」シリーズの記事はこちら
この記事は『エキスパートナース』2021年8月号の記事を再構成したものです。
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