一般病棟でも注意しておきたいPICS(集中治療後症候群)についてわかりやすく解説。今回はPICSのうち、運動機能障害の代表であるICU-AWを予防するための、早期リハビリテーションを取り上げます。ADLを改善して生活の質(QOL)を高めることが、早期リハビリテーションの目的です。
ICU入室患者への早期リハビリが筋力低下、ICU-AWの予防につながる
ICU入室患者に対しては、早期離床・リハビリテーションチームと連携し、患者がICU入室後48時間以内に計画に基づく早期離床の取り組みが開始されることが望ましいです。主に身体リハビリテーションが行われることで、運動機能や日常生活動作(ADL)を改善し、ICU入室期間や在室日数を減少させることが報告されています。
また、近年報告された系統的レビューでは、ICUでの早期リハビリテーションは筋力低下を予防し、ICU-AW発症の割合を低下させることが報告されています1。一般病棟においても、重症患者に対して早期から身体リハビリテーションを実施することで、同様の効果が期待できる可能性があります。
一方で、身体リハビリテーションはPICSのうち、認知機能障害や精神障害に対して効果を認めていないことから、認知機能や精神の障害を見落とさないようにすることが重要です。
重症患者への早期リハビリテーション
早期リハビリテーションの目的は、ADLを改善することで生活の質(QOL)を改善することです。ICU-AW予防のための早期リハビリテーションに特別なことは必要ありません。
重症患者については、前述のような筋力のスクリーニング検査を継続して行うことと、重症であるからこそ安全性に配慮したうえで、48時間以内に身体リハビリテーションの取り組みを開始します2。
重症患者は疲労しやすく、長時間の活動は難しいことが多いため、“少量頻回”を心がけましょう。ベッド上で体位変換をする際に患者自身でベッド柵に手を伸ばしてもらったり、膝立てをして保持したり、ヒップアップをしたりすることだけでも、1日に何度も繰り返すことで十分トレーニングとなります。
また、ベッド上の活動が少しずつできるようになってきたら、端座位での清拭や、ポータブルトイレへの移乗の際の介助立位を取り入れてみましょう。患者の筋力の回復をADLの回復として実感することができます。
重症患者にこそ、“自分でできることは自分で行ってもらう”という生活支援の原則を適応する必要があります。そうすることで、筋力低下を見逃すことなく、筋力低下予防のためのADLトレーニングを展開することが可能となります。
患者が重症である場合、早期リハビリテーションの適応については注意が必要です。集中治療における早期リハビリテーションエキスパートコンセンサスでは、ICUにおける早期離床や早期からの積極的な運動の開始基準が提示されています4。
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