リハスタッフ側の問題点は?

喜多(理学療法士) リハスタッフと看護師さんの認識が一致していると思い込んでいることって、わりとありますよね。「リハビリを実施してよいかどうか」という観点から質問したと思うのだけれど、看護師さんはそれを想定していない……。
 お互いが何を確認しているか、認識がずれていることが問題です。こういう場面は患者さんの安静度(自立度)に関するやりとりでも多くて、例えば、「歩けますよ!」というのがリハビリの練習として歩けるのか、自立してOKなのかわからないときがあるようです。

みややん(言語聴覚士) わかります。お互いが何を確認しているかは大事ですね。「大丈夫」と言われるとリハスタッフは「あ、リハビリ入ってOKなんだ!」と思ってしまいます。「熱が出た後だから評価しつつ慎重に……」と思っても、患者さんの調子がよさそうなら「様子を見ながらできるところまで……」と進めてしまうかも。

タサモ(臨床工学技士) リハビリのスタッフからすると、「大丈夫」という言葉で、リハビリをしてもよいと勘違いしてしまいますね。
 その会話の後にでも、「大丈夫ということはリハビリをしてもいいですか?」と追加の確認をとれるとよかったのかなと思います。会話の流れで「大丈夫」や「どうですか?」と省略して使いがちですが、いかに普段の現場で言葉が足りていないか身にしみます。 

リハスタッフ側ができる対策は?

喜多(理学療法士) 対策としては、何に対する確認作業をしているか、明確にしたほうがよいですね。
 この場合だったら、「患者さんの体調はどうですか?医師からリハビリの許可はありましたか?」とひと言つけ加えるだけでずれることがなくなり、トラブルやインシデントにつながらないと思います。もちろん、医師から直接情報収集することやカルテから情報収集することも大切!
 1つの判断をするために、複数からチェックをするくせをつけたほうがよいですね。

みややん(言語聴覚士) 認識のずれを防ぐために「いつから」「どこまで」リハビリをしてよいか、と確認することは大事ですね。あと、リハスタッフは看護師さんから見ると、PTなのかOT、STなのか違いがわかりにくいと思うので、「嚥下訓練は行っても大丈夫ですか?」とひと言つけ加えるとさらに間違いがないかも。「体は動かしていいけれど、嚥下訓練はまだ待っていて」などと言われることもありますからね。

タサモ(臨床工学技士) それぞれの職種が仕事を行ううえで、曖昧な返答を避けたほうがよいですね。「大丈夫です」と言われた場合には、「リハビリをしてもよいですか?」「医師の指示はどうなっていますか?」と知りたい情報の確認がとれるまでやりとりする必要性があると思います。
 看護師さんも忙しいと思うので、聞くだけでなく、自ら患者さんの状態を確認しつつ、再度医師に指示の確認をすることも大切ですね。

多職種連携のリアル【第7回】コミュニケーションエラー⑤相手の話をシャットアウトする

この記事は『エキスパートナース』2020年8月号連載を再構成したものです。
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