看護師の視点からの解決策①

ふくっち(看護師) 久原さんの「物(医療機器)のせいにしてしまう」という発想はなかったので、1つの手段としてよいですね。

 また、このようなタイプの男性には、権威性が功を奏する場合もあるのではないかと思います。やはり医師や看護師長などから話をしてもらうことも大切ではないでしょうか。医師や看護師長などの権威ある人に話をされると、一時的に改善する場合があります。

 ただ、権威性があるからこそ、正論を話しても患者さんは「怒られた」と解釈してしまい、その不満や屈辱感が認知の歪みとなり、さらに態度を悪くする場合もあります。つまり「一時的な改善」でしかない場合、逆に「怒られた」と思わせることで状況を悪くすることもあるということです。

 なので、患者さんのパーソナリティやコミュニケーションの方法をスタッフ間で話し合っておく必要がありますね。臨床の場では、情報が多ければ多いほど、患者さんの個別性が見えてくると思います。
 
 基本的には、女性看護師1人で対応せず、リハビリスタッフや看護補助者の方にも助けてもらうことで複数人でかかわりましょう。そして男性看護師は、同じ職種として女性看護師の不安をしっかり聞いて共感するのも大事だと思います。同じ職種だからこそ思いを理解し、共有できるのですから。

薬剤師の視点からの解決策

猫兄貴(薬剤師) 患者さんが、何に対してストレスを感じているか、また、何を望んでいてどういうギャップにストレスを感じているかを捉える必要がありますよね。ただ、それらすべてを医療スタッフが解決できるわけではないですし、もともと大した意味がない、生来の気質だったりする場合もあるので、根本的に解決できることはそう多くないと思います。

 やはり、職員を守る責務がある管理職が明確に対応することは必須でしょう。ほかの方も言っているように、個人の話で終わらずに職場の問題として取り組めるように、病棟全体で共有していくことが必要です。

 また、もし院内で緩和ケアチームが活動していれば相談してみてもいいかもしれません。緩和ケアチームは、がんの痛みがないと相談してはいけない、みたいな風潮があるかもしれませんが、決してそんなことはありません(もちろん院内のチームのキャパにもよりますが……)。

 精神科の医師がチームに入っていることが多いので、そうした対応も得意なはずです。“全人的な苦痛”に対応するのが緩和ケアチームの役割ですから、患者さんがなにか強い不満を抱えていそうであれば、強い味方になってくれるかもしれません。