看護師の視点からの解決策②

rosso(看護師) 患者さんのバックグラウンドの聴取・共有はマストだと思います。入手した情報は職種によって異なるため、お互いに「これは知っているだろう」と思わずに共有することが大切です。特に看護師は24時間、患者さんを看ているため、夜間の様子やハラスメント状況を看護記録に残すことが一番の情報共有だと思います。

 また自分がハラスメントを受けてしまった場合は、「仕方がない」「私の対応がいけなかった」と思わずに、上司に報告する勇気をもつことが再発予防になることを以前経験しました。今回は女性看護師が対象でしたが、ハラスメントはたくさんのケースが存在するため、いつ・誰が対象になるかわかりません。日頃からそのことを意識しておく必要があると思いました。

 看護師は上司や同僚以外にもさまざまな職種や患者さん、家族とかかわるため、ハラスメントを受けやすい職種です。また、起きたトラブルを看護師個人の問題にされることもあり、ハラスメントとしてとりあげにくい実情もあります。

 今回、「それぞれの職種が解決に向けてできること」でも出てきたように、看護師だけではなく、組織として対策を考えていくことが求められるでしょう。ハラスメントを未然に防ぎ、実際に起こってしまった場合にも早期に対応ができるよう、体制を整える必要があると思います。

今回の事例のまとめ

●自分1人で抱え込まないようにする。また、看護師だけでなく他職種にヘルプを出すことも方法の1つ。
●日ごろから「ハラスメントかも?」と思ったことは、看護記録に残して情報共有する。
●患者さんの置かれている状況や、これまでの背景も情報収集・共有する。
●関係部署全体で情報を共有し、医療安全・緩和ケアなどの院内チームの協力をあおいで対策をとる。

多職種連携のリアル【第13回】事例で検討④病棟から施設に移る場面の多職種連携

この記事は『エキスパートナース』2020年12月号連載を再構成したものです。
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以上の解決方法・対処例は、ケースをもとにメディッコメンバーが話し合った一例です。実際の現場では、主治医の指示のもと、それぞれの職種とこまめに連携をとり、進めていってください。