足関節・足部に関する矢状面の運動の用語

 足関節における矢状面の動きについて、わが国では「背屈/底屈」や「伸展/屈曲」が用いられてきました。

 今回の改訂では足背への動きを「背屈」足底への動きを「底屈」とし、「伸展/屈曲」は使用しないこととなりました。

 これは、英文の文献ではほとんどが「背屈dorsiflexion」と「底屈plantar flexion」になっており、「伸展extension」を背屈方向、「屈曲flexion」を底屈方向としている論文はなかったということに基づきます3
 つまり欧米では日本とは逆にextensionが「底屈」、flexionが「背屈」の意味で使われているということで、これが今回の改訂に至った理由です。

 「背屈/底屈」の測定は膝屈曲位で行い、矢状面における腓骨長軸への垂直線と足底面のなす角で表されます(図5)。
 ただし、母趾・足趾に関しては、足底への動きを「屈曲」、足背への動きを「伸展」とすることは変更されていません。

図5 背屈・底屈の計測方法
(文献1をもとに作成)

足関節・足部の内転・外転運動の基本軸と移動軸

 「内転/外転」の評価を行う場合、これまでは第1・第2中足骨の間の中央線を基本軸としていましたが、今回の改訂からは第2中足骨長軸を基本軸にすることに変更されました(図6)。

 これは第2中足骨の基部が内側・中間・外側楔状骨で形成されたほぞ穴の部分に入り込み、安定していることが考慮されたものと考えられます。 「内転/外転」の計測は膝屈曲位、足関節0度で行うことになっています。

図6 内転・外転の計測方法
(文献1をもとに作成)
1.久保俊一,中島康晴,田中康仁:関節可動域表示ならびに測定法改訂について(2022年4月改訂).Jpn J Rehabil Med 2021;58(10):1188-1200.
2.Doya H,Haraguchi N,Niki H,et al.:Proposed novel unified nomenclature for range of joint motion:method for measuring and recording for the ankles,feet,and toes.J Orthop Sci 2010;15(4):531-539.
3.銅冶英雄:足関節・足部・足趾の運動の表現方法の統一を目指して.Bone Joint Nerve 2012;2(4):603-612.

この記事は『エキスパートナース』2022年10月号の記事を再構成したものです。
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