さまざまなデバイスが存在する酸素療法を、基本から解説!今回は、高流量システムによる酸素療法についてです。Ⅱ型呼吸不全に用いられるベンチュリーマスクやベンチュリーネブライザー、重度の低酸素症に用いるハイフローセラピーの特徴や設定の注意点、製品例を紹介します。

 高流量システムの適応は酸素濃度を一定に保ちたいⅡ型呼吸不全や、リザーバーマスク15L/分でもSpO290%以上を維持できない重度の低酸素症の場合です。

 前者に主に用いられるのがベンチュリーマスクやベンチュリーネブライザー、後者に主に用いられるのがハイフローセラピーです。

ベンチュリーマスク・ベンチュリーネブライザー

1)特徴

 ベンチュリーマスクやベンチュリーネブライザーの構造は以下です(図1)。

①送られてきた酸素の流れを急に狭くすることで、酸素の流速を上げる
②流速の上がった部分に空気を取り込む入口を設けることで、高流量の酸素と空気の混合ガスを届ける(ベルヌーイの法則)

 ベンチュリーマスクは酸素濃度24~50%、ベンチュリーネブライザーは酸素濃度28~50%の高流量酸素投与が行えます。

図1 ベンチュリーマスク・ネブライザーの構造

ベンチュリーマスク・ネブライザーの構造

2)色分け・設定の注意点

 ここで注意が必要なのは、ベンチュリーマスク(オキシジェンマスク アキュロックス型)は、色ごとに分けられた最適酸素流量図3ベンチュリ―マスク参照)を守らなければ、正しい酸素濃度を高流量で投与できないことです。これを理解して酸素投与を進めましょう。

 またベンチュリーネブライザーも、酸素流量と酸素濃度が患者さんの吸気流速を超える設定にならなければ高流量システムとして酸素投与できないことを知っておきましょう(表1)。

表1 ベンチュリーネブライザーの有効な設定

ベンチュリーネブライザーの有効な設定
黄色の範囲=酸素流量30L/分を超えた高流量供給範囲
(文献1より引用、一部改変)

ハイフローセラピー

1)特徴

 ハイフローセラピーは、近年の呼吸療法で最も注目されている高流量システムの酸素療法です。以下のような特徴があります。

この記事は会員限定記事です。