自然気胸を疑う際のアセスメントのキーワード

 前述の自然気胸を疑う際のアセスメントでのキーワードを紹介します。

打診

●左手の第3指中節~末節部分(1)を体につけ、その中節骨部分(2)を右手の第3指の指頭で、右手首のスナップをきかせ一定の強さで叩打する。

皮下気腫

●皮下気腫は胸腔外の筋層や皮下に漏れ出る空気で、疼痛や握雪感が出現する。
●皮下気腫を触れる部分をマーキングしてサイズの変化をみていき、基本的に自然吸収されるのを待つ。
●皮下気腫による呼吸困難の悪化や嚥下障害がないか、顔面に皮下気腫が生じて視野障害・複視が出てこないかを確認し、神経症状が出るようであればドクターコールする。

鼓音

●打診では、空気の含有により音の振幅が異なる。
●通常の肺の打診では清音が聴取されるが、振幅が大きい、太鼓を叩いたような「トントン」という音が鼓音。鼓音は内部にairが貯留していることを示す。
●臥位で患者さんの胃泡や腸管ガス貯留部を打診すると鼓音が聞かれやすい。

緊張性気胸

●自然気胸の影響で胸腔内圧が高まり、結果として循環不全、ショックにいたる病態。頸静脈の怒張や、頸部の気管の偏位、ショック状態への進展時に疑う必要がある。
●特に人工呼吸器装着時やバッグバルブマスク換気など、陽圧換気時に病態悪化したときは必ず緊張性気胸を疑い、至急でドクターコールする。

画像での着目ポイント

自然気胸を疑って見ている(立位・座位)
A:肺の虚脱 胸部X線
B:重症度 胸部X線
C:最大呼気時の肺 胸部X線

自然気胸を疑って見ている(臥位)
A:空気の貯留量 胸部CT
B:空気の貯留部位 胸部CT

胸腔ドレーンの不適切な留置を疑って見ている
胸腔ドレーン尖端の向き 胸部X線

合併症を疑って見ている
皮下気腫など 胸部X線

1.Wilkerson RG,Stone MB:Sensitivity of Bedside Ultrasound and Supine Anteroposterior Chest Radiographs for the Identification of Pneumothorax After Blunt Trauma.Acad Emerg Med 2010;17(1):11-17.
2.近藤晴彦監修・編:多職種チームのための周術期マニュアル1 肺癌.メヂカルフレンド,東京,2004.

この記事は『エキスパートナース』2019年4月号特集を再構成したものです。
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