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血液透析を行う慢性腎不全患者さん[後編]研究結果からみる実施したいケア【看護研究からわかる患者さんのこころの中:第16回】
【第1回】不穏・興奮・せん妄などを呈する患者さん[前編]研究から明らかになったこと【第15回】血液透析を行う慢性腎不全患者さん[前編]研究から明らかになったこと 患者さんの気持ちを知りたい、という姿勢で患者さんに向き合う ケアのポイント●患者さんの気持ちを断定せず、気持ちを知りたい、という姿勢で患者さんに向き合う●患者さんの気持ちを聴いたときに感じる、看護師自身の気持ちを言葉にする●気持ちを表現する的確な言葉が見つからないときは、身体に生じる感覚を言葉にしてみたり、たとえなどを用いてみる 透析患者さんの気持ちに寄り添えるよう、理解するための方策を見つけ出す 日本人は、他者に自分を理解してもらったと感じるとき、日常的には「私の気持ちをわかってもらえた」と表現します。 “気持ち”は日本人にとって、自分の中核を表現している言葉ですが、日常的な用語のために、学問用語として使われません。 このブロック以降のコンテンツは非表示になります しかし、看護の現場では、“患者さんの気持ちを理解する”という表現は、患者さんの心理や存在意味的(スピリチュアル)側面の理解と同義語的に使われています。 また、アメリカの臨床心理学者C.Rogersはその理論の基本的命題として、個人はすべて絶え間なく変化している経験の世界に存在している、と述べています。この経験世界が、日本文化では“気持ち”に相当するのではないかと考えます。 1)患者さんの気持ちを聴いたときに感じた看護師自身の気持ちを素直に言葉にしてみる 本研究から、“気持ち”は次のように説明できます。 ●人の内部および外部から生じるできごとを経験するときに、人に生じる状況の認知、引き起こされる感覚や感情・情動・思い・思考などが融合/統合した経験の世界●日常生活のなかで言語で表現される部分と、言語で表現できないが確実に感じている部分の経験をすべて含む 共感的理解に基づいて他者に理解されたとき、人は「気持ちを理解してもらった」と感じるとともに自分自身の存在を尊重されたと感じます。 そのため、患者さんの気持ちを理解するには、まず、患者さんの気持ちを知りたい、という姿勢で患者さんと向きあうことが最も大切です(C. Rogersのいう「積極的関心」)。誠実に向き合う勇気と覚悟も必要です。 まずは、患者さんの話を聴いたときに看護師自身が感じた気持ちを素直に言葉にしてみましょう。そして、「〇〇な気持ちを抱いていらっしゃるように私は理解しましたが……」などと確認してみましょう。 看護師が、自分自身が感じたことや気持ちを言葉に表すことができなければ、患者さんの気持ちを言葉にすることは難しいでしょう。気持ちを表現する的確な言葉が見つからないときは、身体に生じる感覚を言葉にしてみたり(「胸がわさわさする感じ」など)、「ガラス張りの箱に入っているような気持ち」など、たとえなどを用いてみることも、気持ちを表現する助けになります。 看護師が自身の感覚的経験や気持ちを素直に表現できれば、患者さんも気持ちを話しやすくなります(C. Rogersのいう「自己一致」)。 しかし、患者さんが自分から語れる状況でないときに、表現だけ「〇〇のような気持ちなんですね」とあてはめたり、断定するようなことはしてはなりません。 透析患者さんの気持ちに寄り添えるよう、理解するための方策を見つけ出す 2)「経験している気持ち」を口に出して共感の練習をしてみる 患者さんがどのような気持ちなのか、【第15回】・表1の「経験している気持ち」を実際に看護師が口に出してみるのも1つの方法です。 看護師が「透析をやりたくない」という患者さんの理解のために、「透析をやりたくない」と口に出したとしましょう。看護師自身は透析をする状況ではないので、「透析をやりたくない」という患者さんの気持ちと同じ経験はできません。 しかし、口に出してどんな気持ちになるかを感じてみると、看護師自身が『仕事に行きたくない』という気持ちをイメージしても『やりたくない』という気持ちを味わうことができると思います。そうすることで、患者さんの「やりたくない」という気持ちに共感しやすくなる効果があります。 3)「気持ちマネジメントシート」を患者さんの気持ちの理解に役立てる 【第15回】・表1で明らかになった“気持ち”は、あくまで一例です。この表を1つの基準として、患者さんの固有の気持ちを理解していけるような姿勢で接することが重要です。 特に、そのような姿勢でかかわって、「生きたい」という気持ちが見いだされた1ことはとても大事なことだと思います。 【第15回】・表1をもとに、“気持ち”を一覧表にして、経過が記載できるようにした「気持ちマネジメントシート」を作成しました(表1)。 表1 気持ちマネジメントシート (文献2を参考に作成。*が付いた「経験している気持ち」は文献3のp25を参照) これは、【第15回】・表1の「経験している気持ち」に示す24の気持ちに導入期の研究で明らかになった気持ちを加えたもの3を縦に並べ、横に日付を記載できる欄を追加した表です。 それ以外の気持ちも追加記入できるようになっており(「その他」の欄)、面談時に患者さんが表出した気持ちに印をつけることで、経時的に患者さんの気持ちの変化が一覧できます。このシートを患者さんと共有することで、患者さん自身が自分を見つめることができます。 これを利用して患者さんの理解を深めるという実践適用も行っており、「患者の気持ちを理解するための看護師に対する教育プログラム」を開発しました(図 1)3。 図1 透析患者さんの気持ちを理解するための看護師に対する教育プログラム 参加した看護師は、「話しかけにくい雰囲気の患者だと思っていたが、こんなに話してくれるんだと思うほど話してくれた」「透析を全部受け入れて前向きな人だと思っていたが、そうではないことが分かった」など、自分たちを縛っていた「思い込み」に気づき、少しずつ患者さんの気持ちを理解する方策を見つけ出しています。 患者さんの気持ちを理解し寄り添うことが看護の基本であると考えますし、“気持ち”は看護師の専門性を示す1つの用語になることを期待しています。 引用文献1. 石崎さゆり,籠真一,森田夏実:他院で透析導入となり、維持透析目的で転院してきた患者の気持ち~気持ちマネジメントシートを用いて~.第26回日本サイコネフロロジー研究会抄録集 2015:38.2. 森田夏実:血液透析療法を受けながら生活している慢性腎不全患者の“気持ち”の構造.聖路加看護学会誌 2008;12(2):1-13.3. 森田夏実:“経験”と“気持ち”.聖路加看護学会誌 2015;18(2):23-29. 回復過程における重症外傷患者さん[前編]研究から明らかになったこと【看護研究からわかる患者さんのこころの中:第17回】(11月12日配信予定) この記事は『エキスパートナース』2016年11月号連載を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。
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外科(術後)ケア②術前経口補水療法のためのORT製剤【モノで変わった!看護ケア:第11回】
【第1回】救急ケア①AED【第10回】外科(術後)ケア①術後疼痛管理におけるディスポーザブルPCA「モノで変わった!看護ケア」シリーズの記事はこちら 術前の体液管理として役立つ 従来、全身麻酔に関連した誤嚥性肺炎を防ぐため、慣習的に手術前夜から絶飲食とすることが当然とされてきました。 しかし、近年では多くの新しいエビデンスが示されており、米国およびEU加盟国の各麻酔科学会では、ERAS*などの考え方をもとに、国によって差異はあるものの、以下のように規定しています ●固形物は手術6時間前まで摂取できる●残渣のない透明な飲料は手術2~3時間前まで摂取できる また、輸液投与の問題点として、「抜去・空気塞栓のリスク」「患者の行動制限」「口渇・空腹・不安」「歩行移動時の看護師の労力の増加」などが挙げられます。この点、経口補水液(oral rehydration solution、ORS、図1)を用いて行う経口補水療法(oral rehydrationtherapy、ORT)は、輸液療法と同等の水・電解質・炭水化物の補給効果を得ることが可能であるとされており、術前の体液管理として広まることが期待されています。 このブロック以降のコンテンツは非表示になります 図1 AAP(American Academy of Pediatrics、米国小児科学会)の指針に基づいたORS(経口補水液) 経口補水液 オーエスワン®シリーズ 個別評価型病者用食品(画像提供:株式会社大塚製薬工場) ●水と電解質をすばやく補給できるように、ナトリウムとブドウ糖の濃度が調整されている経口補水液。ゼリータイプ(右端)もあり、咀嚼・嚥下困難な場合にも使用できる(医師に相談のうえ)。 表1 手術室入室方法と患者・医療従事者への影響 (文献1より引用) 患者のストレス軽減や麻酔導入の際にメリットあり ①患者ストレスの軽減 術前に補液療法が施行されると、穿刺に伴う痛みに加え、患者は行動を制限されるため、身体的・精神的にストレスが増加します。また、口渇感と空腹感を助長し、大きなストレスとなります。 ORTを活用すれば、手術直前までトイレを利用でき、自ら更衣も可能になります。また、絶飲食の期間が短縮されるため口渇感や空腹感が軽減し、より快適な状態で手術に臨むことができると報告されています2,3。 ②安全な麻酔導入(術前にORTを使用しても胃内容量は減少する) 安全な麻酔導入の条件として、術中の嘔吐や誤嚥を防ぐため、胃内容量を減少させる必要があります。 術前の体液管理として「ORT群」と「輸液群」では、ORT群において有意に胃内容量が少なかった2とされており、積極的な飲水を促す表現もみられるようになっています。 ③麻酔導入時の脱水を予防 術前は、禁飲食や下剤の服用などにより脱水傾向となっています。また、麻酔導入時は麻酔薬、睡眠薬、鎮痛薬などが投与されますが、これらの薬剤は血圧低下のリスクがあります。 術前ORTは輸液療法と同等の水・電解質および炭水化物を維持できるとされています4。 手術室への移動の負担などを軽減 術前のORTは、補液の管理時間が短縮され(準備、処置、補液開始後の観察業務)、看護師はその分、術前に不安を抱く患者に寄り添い、精神状態の安定化を図ることができます。 また、手術室の移動や更衣・排泄介助も軽減され、手術室入室時間の厳守、移動時の転倒やルート抜去、患者間違いのリスクを減らすことができ、医療安全上のメリットも大きいと言われています。 摂取量や摂取時間などの情報を伝える ORSの摂取量および最終摂取時間に応じて、麻酔医が麻酔導入に対応するため、その情報を手術室へ伝達する必要があります。また、院内で術前ORTを広めるためには、医療従事者が正しくORTを理解し、手術入室方法など、患者・各医療職への影響について吟味し、施設の状況に合ったマニュアルを作成することが望ましいでしょう。 引用文献1.谷口英喜:術前経口補水療法.臨床麻酔 2011;35:938-949.2.Taniguchi H,et al.:Preoperative fluid and electrolyte management with oral rehydration therapy.J Anesth 2009;23:222-229.3.谷口英喜,佐々木俊郎,藤田久栄:術前体液管理への経口補水療法の試み.日臨麻会誌2009;29(7):815-823.4.谷口英喜,佐々木俊郎,牧瀬杏子,他:絶飲食期間を短縮した術前管理の提案̶多周波数インピーダンス法を用いた体内水分量の検討から̶.日臨麻会誌2010:30(3):383-392. 参考文献1.公益社団法人日本麻酔科学会:術前絶飲食ガイドライン(2012).https://anesth.or.jp/files/download/news/20120712.pdf(2024.7.12アクセス)2.株式会社大塚製薬工場ホームページ:OS-1シリーズ.https://www.os-1.jp/(2024.7.12アクセス) 外科(術後)ケア③開放型酸素投与システム(11月12日配信予定)【モノで変わった!看護ケア:第12回 この記事は『エキスパートナース』2015年7月号特集を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。
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認知症の終末期②症状・病態の変化【非がん患者への緩和ケア:第24回】
【第1回】緩和ケアの最新の考え方【第23回】認知症の終末期①入院患者のサイン「非がん患者への緩和ケア」シリーズの記事はこちら 次第に意思疎通が困難になり、肺炎などの症状がみられるようになる 重症認知症から終末期に向かう変化の概略としては、失禁(FAST「ステージ6」、【第23回】認知症の終末期①入院患者のサイン・表1)、長期臥床(FAST「ステージ7」、同・表1)を経て、摂食嚥下障害、誤嚥性肺炎などの感染症や意思疎通困難となって行きます(図1)。 図1 重症認知症から終末期への進行 このブロック以降のコンテンツは非表示になります 肺炎・褥瘡は経過の途中もしくは最終段階で散発する 1)主な症状は、 摂食嚥下障害ならびに肺炎と長期臥床に伴う苦痛症状 終末期の症状は疼痛よりも呼吸困難が多いことが特徴的ですが、ほかにも、嚥下障害、咳嗽、発熱、浮腫、褥瘡、喀痰、および便秘なども多くみられます。また、主治医が治療すべきと考えている症状は、呼吸困難、嚥下障害、喀痰、褥瘡、およびせん妄などです1。 これらをまとめると、摂食嚥下障害、肺炎と長期臥床に伴う苦痛症状が認知症終末期の症状といえます。 2)意思疎通が困難な場合は、PAINADで苦痛を評価する 苦痛の評価は、本来は主観であるべきですが、認知症の終末期は意思疎通が困難になっていることが多いため、客観的に行わざるをえません。当院でも用いているPain Assessment in Advanced Dementia(PAINAD)は、呼吸、ネガティブな発声、顔の表情、ボディランゲージ、および慰めやすさの5項目を評価します(表1)2。 たとえ入院場面であっても、長く介護をしてきた家族や慣れた介護施設スタッフなどの評価を聞くことができれば、さらに精度が上がることになるでしょう。 表1 Pain Assessment in Advanced Dementia(PAINAD) 5項目を足した数字が、NRSを用いたペインスケールとなる(文献2より引用。表の日本語訳文はValidation済み〈Sekine R et al.Under article submission〉) 予後予測にはMRI が用いられる 重度認知症での6か月以内の死亡率を予測するツールとしては、Mortality Risk Index(モータリティリスクインデックス〈MRI〉)があります(表2)3。 表2 Mortality Risk Index(MRI) 合計が12点以上なら、6か月以内の死亡率は70%(文献3より引用、一部改変) 12項目の合計が12点以上なら6か月以内の死亡率70%と見積もられます。 また、MRIに、ナーシングホーム*1への入所が最近であること、褥瘡の多発、体重減少なども追加したAdvanced Dementia Prognostic Tool(アドバンスドディメンシアプログノスティックツール〈ADEPT〉)4もあります。 *1【ナーシングホーム】=医療と福祉が一体となった福祉施設。重度の寝たきり高齢者などが対象。 引用文献1.平原佐斗司,苛原実,木下朋雄,他:非がん疾患の在宅ホスピスケアの方法の確立のための研究.2006年度後期在宅医療助成.http://www.zaitakuiryo-yuumizaidan.com/data/file/data1_20100507092236.pdf(2019.5.20アクセス)2.Warden V,Hurley AC,Volicer L:Development and psychometric evaluation of the Pain Assessment in Advanced Dementia(PAINAD)scale.J Am Med Dir Assoc 2003;4(1):9-15.3.Mitchell SL,Kiely DK,Hamel MB,et al.:Estimating prognosis for nursing home residents with advanced dementia.JAMA 2004;291(22):2734-2740.4.Mitchell SL,Miller SC,Teno JM,et al.:The advanced dementia prognostic tool:a risk score to estimate survival in nursing home residents with advanced dementia.J Pain Symptom Manage 2010;40(5):639-651. 参考文献1.日本老年医学会:高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン:人工的水分・栄養補給の導入を中心として.日本老年学会雑誌 2012;49(5):632-645. 認知症の終末期①ケアで行いたいこと【非がん患者への緩和ケア:第25回】(11月11日配信予定) この記事は『エキスパートナース』2019年7月号の記事を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。
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