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脳神経疾患による痙縮・拘縮・筋萎縮【麻痺の看護#11】
「脳」と「麻痺」の基本と応用について解説!今回は脳神経疾患による合併症、痙縮・拘縮・筋萎縮について紹介します。 痙縮とは 「痙縮」は「けいしゅく」と読みます。痙縮を説明するのはとても難しいので、図1を見て想像してみてください。 痙縮は、自分の意思とはまったく関係なく、筋肉の緊張が極度に高まった状態と言われます。どうしてこのような状態になるのか? というと、やはり脳が関係しています。 図1 痙縮が発生した手足 運動を伝える神経路は、中心前回から出発する神経路であることは伝えました。この痙縮に関連するのは、微調整をする神経路です。錐体路(運動を伝える神経路)は大雑把な動きを伝えています。その周りには、この錐体路を陰ながら支える縁の下の力持ち神経路がいくつかあります。 もう少し簡単に説明すると、「刺激を伝える“+(プラス)の神経路”」と「刺激が暴走しないように調整している“-(マイナス)の神経路”」があるとします。プラスの神経路の出発点は、脳幹部と言われる脳の中心部にあり、マイナスの神経路は錐体路の近くを通っています。このマイナスの神経路が障害を受けると、プラス面だけが際立つことになります(図2)。つまり筋肉への刺激が暴走した状態となり、常に筋肉が緊張してしまうわけです。 正確に言うと、麻痺があることでこのような状態になるのではなく、脳に障害を呈してマイナスの神経路が障害を受けることで痙縮になるということです。 図2 プラスの神経路とマイナスの神経路(イメージ) このブロック以降のコンテンツは非表示になります 拘縮とは 「拘縮」(図3)はよく聞く言葉かもしれません。通常ならば関節は滑らかな動きをしますが、関節を滑らかに動かしている組織に器質的な変化が生じると柔軟性がなくなってしまいます。 図3 上肢の拘縮のイメージ 器質的な変化とは、細胞が変形や変性してしまうことを言います。それでは、関節を滑らかに動かしている組織にはどのようなものがあるでしょうか? すぐに思いつくのは……関節包。そのほかには骨格筋や靭帯、皮膚も含まれています。関節が拘縮してしまう原因はやはり“不動”……つまり動かさなくなる(動かない)ことが一番です。これはあくまでもネズミを使った実験であり、人を対象とした実験ではありませんが、関節を不動にしてから約2~4週間までの間は、骨格筋が主たる拘縮の責任組織であるという結果があります。 では、骨格筋にどのような変化が起きているかと言うと、そのキーワードは「コラーゲン」です。筋肉を動かさないでいると、筋肉の細胞内にコラーゲンが増殖します。コラーゲンというと、私たちにとってマイナスのイメージはありませんよね。例えば肌に弾力が生まれたり、みずみずしくなったりとコラーゲン=美容・保湿のイメージがあります。 しかし、確かに弾力はあるのですが、筋肉等に蓄積して多くなると、そのものをより強靭にするという特徴もあります。 コラーゲンを 1本の矢だと想像してみてください。このコラーゲンが何本も集まると、簡単には折れませんよね。動かさないという環境がコラーゲンを何本も積み重ね、より筋肉を強靭にすると言われています。そうなると、拘縮は悪化してしまいます。 拘縮の「拘」って、どんな意味? ここからはちょっと息抜きのため国語? の話です。拘という字を分けてみると、「手偏(部首)」と「句」という字に分かれますよね。手偏はその名の通り、手を表すと言われています。句という字の語源は、口と曲がっている鍵を表しているそうです。 関節が動かないことで曲がってしまった状態が、昔の人には曲がった鍵のように見えたのかもしれませんね。 筋萎縮とは 筋萎縮には3つの考え方があります。「神経原性筋萎縮」と「筋原性筋萎縮」、そして「廃用性筋萎縮」です。 神経原性筋萎縮の代表的な疾患は「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」です。筋原性筋萎縮の代表的な疾患は「筋ジストロフィー」です。私たちがターゲットとしているのは「廃用性筋萎縮」です。 廃用性筋萎縮とは、いわゆる運動をしないことで筋肉がやせてしまうことを言います。私たちも一緒ですよね。ムキムキの筋肉にするためには、腕立て伏せや腹筋など筋力トレーニングを行ったりします。しかし、病気によって運動ができなくなったり、運動が制限されたりすると筋肉がやせ細ってしまいます。 文献によりさまざまですが、安静臥床を続けると、1週間で10~15%の筋力が低下すると言われています。1日の安静臥床では、元に戻すまでは 1週間ほどかかるということになります。 「長期臥床に伴い廃用症候群となる」と、筆者は学生のころ学びました。現在もその考え方は変わらないと思いますが、長期臥床だけではなく、入院環境そのものが廃用を生むのではないかと強く感じています。日常の生活は自分でやらなければならないことがたくさんありますが、入院環境では自分でやらなければならないことが極度に少なくなります。必要な安静をしっかりとアセスメントしていくことが重要です。 参考文献1.才藤栄一,藤谷順子,植田耕一郎,他:脳卒中と重度嚥下障害.総合リハビリテーション 1994;22(11):943-947.2.池嵜寛人,原修一:急性期脳血管障害患者における嚥下障害の予後予測.九州保健福祉大学研究紀要2011;12:163-169.3.馬場尊,才藤栄一:脳卒中後の嚥下障害―その治療方法と予後、患者・家族が注意すべきこと―.公益社団法人日本脳卒中協会.http://www.jsa-web.org/jsanews/jn7/jn7a.html(2018.1.20アクセス)4.後藤勝正:宇宙環境暴露および老化による骨格筋の萎縮.宇宙航空環境医学 2007;44(2):49-58.5.猪飼哲夫 編著:脳卒中リハビリテーションの最前線 実践とエビデンス.医歯薬出版,東京,2017.6.若林秀隆:PT・OT・STのためのリハビリテーション栄養 第2版 栄養ケアがリハを変える.医歯薬出版,東京,2015. 【第12回】麻痺のあるときの体位変換・ポジショニング(5月28日配信予定) さらに学ぶなら【第1回】錐体路から麻痺のしくみを理解【第2回】危険な舌の麻痺の見抜き方【第3回】危険な顔面麻痺の見抜き方【第4回】手が握れないときの麻痺の見抜き方【第5回】脳神経疾患による運動障害とは【第6回】脳神経疾患による感覚障害が起こるメカニズム【第7回】脳神経疾患による言語障害 【第8回】脳神経疾患による嚥下障害が起こる理由【第9回】脳神経疾患による排泄障害のしくみ【第10回】脳神経疾患による高次脳機能障害の種類そのほかの連載はこちら ※この記事は『エキスパートナース』2018年3月号特集を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。
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【連載まとめ】輸血業務のつまずきQ&A
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