本連載「ナースが共有したい“ケア実践事例”」の連載を終えるにあたり、読者の皆さまはどのような感想をお持ちでしょうか。どの事例も日常の臨床場面であるような、けれど解決するには難しい事例だったように思います。

 私は、それぞれの事例提供者に共通することがあったように思います。
 それは“気づき”に立ち止まっていること、“気づき”から情報収集をさらに行い問題 ・ 課題を明確にしていること、そして仲間(同職種 ・ 他職種)と“気づき”を共有し解決を図っていることです。

 この連載を始めるにあたって、「“エビデンスがあるからする”“エビデンスがないからしない”ではない」と提言しました(共有したいケア実践事例【第1回】実践を記述するということ参照)。つまりエビデンスが前提ではなく、看護師の“気づき”が先行するのではないでしょうか

 看護は状況(病態)や個人の価値観やそのときの看護師との関係性で大きく変化する、science(サイエンス)art(アート)です。“気づき”の意味を考えたり、情報を統合するときに、エビデンスが必要なのではないでしょうか。

 多忙な日常の中で“気づく”こと、“立ち止まる”ことは勇気がいるときもあると思います。ですが、皆さんの“気づき”を大切にしてください。

 最後に、どうしたら“気づき”は育成されるのでしょうか。それはまたどこかで議論の機会をいただければと思います。
 おつきあいいただきありがとうございました。

この記事は『エキスパートナース』2017年1月号特集を再構成したものです。
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