日々の看護業務のなかで感じるさまざまな悩み。内容によっては他職種に相談することで、すぐに解決するかもしれません。どんな状況で、どんな職種の人が頼りになるか、現場の声から考えます!

みややんみややん

言語聴覚士(ST)

言語聴覚士12年目。急性期、回復期病院などを経験して、今は訪問STとして勤務。最近は後輩育成を改めて考えている。回復期病院経験が長いので、今回はそのときを思い出しながら書いた。

おおひらおおひら

理学療法士(PT)

理学療法士6年目。総合病院にてさまざまな科の急性期病棟を経験。現在は軽費老人ホーム*1に勤務している。急性期で働いていたときの看護師さんとのかかわりで得た仕事の教訓を伝えていく。
*1【軽費老人ホーム】高齢者が無料または低額な料金で入所でき、食事などの日常生活のうえで必要なサポートを提供することを目的とする施設。

●言語聴覚士(ST:Speech-Language-Hearing Therapist)
リハスタッフの一員。脳卒中の後遺症や神経難病によって会話や発音がうまくできない、摂食嚥下障害があるなどの困難に対してリハビリ、サポートを行う。

患者さんの体調がよい時間帯と、実際にリハビリを行う時間帯がずれる……。そのなかでの最善をどう考えたらよい?

今回の相談

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、病院全体でリハビリテーション(以下、リハビリ)時間を見直した結果、リハビリを行う時間が変更になりました。それにより、今までは午後に行っていた患者さんのリハビリ時間が、午前中になりました。患者さんからは「午前中はどうも体調が今ひとつで、休んでいたいんだよね。リハビリの人たちには申し訳なくて言えなかったんだけど……」と相談されました。
このように感染症に限らず、「患者さんの体調がよいときとリハビリの時間がずれてしまう」場合や「抗菌薬や入浴の時間と合わない」ような場合、リハビリはすべて病院側の都合に合わせてもらってもよいのか、どのように対応すればよいのか悩んでいます。

お互いに無理のないスケジューリングと情報共有をしっかり行おう

 リハスタッフがどのタイミングでスケジュールを把握しているのか、また、患者さん個人の状態を見てどのようにリハビリを工夫しているのか見ていきます。

リハビリのスケジュールの組み方について

 リハビリのスケジュールの組み方は職場によってさまざまです。例えば、管理者が前日または前週に患者さんのリハビリスケジュールを立てているところもあれば、当日にスケジュールが割り振られるところもあります。
 出勤したら朝のスケジュールを確認し、担当患者のカルテから情報を取得する流れは、だいたいどこも同じです。しかし、病棟によって点滴や処置、検査、入浴などの予定がさまざまなので、各病棟の流れを考慮して時間を組んでいます。

 また、患者さん個人の事情(午前中のリハビリだと疲れてしまう、入浴前にリハビリをしたいなど)もできるだけ調整するようにしています(図1)。

 病棟の看護師さんも忙しいのは重々承知ですが、リハビリの時間で訪室すると、「入浴が遅れていてまだ帰ってきていない」などということもあるので、あわてて他の患者さんのリハビリに入るなどして調整することはあります。できるかぎり事前に情報収集してはいますが、急な予定が入ったり、予定が変更になったりする場合には、うまく連携できるといいなと思っています。

図1 患者さんの事情を考慮し、さらに検査の時間変更に対応したスケジューリング例

●今回のケースでは、患者さんが「午前中のリハビリは疲れてしまう」、「入浴前にリハビリをしたい」と言っているときの「リハビリ」は、比較的大きく体を動かすことの多い理学療法(PT介入)のことを指していました。そのため、OT やST の介入は柔軟に対応しています。

感染症の患者さんの対応や、イレギュラーな対応について

 感染症の患者さんのリハビリは1日のなかでも最後にしたり、また易感染状態の患者さんは最初にしたりと、スケジュールの組み立てには注意しています。STの場合、食事場面で口元に触れる機会が多いので、十分に感染対策を行うようにしています。PTの場合、基本的には安静度(ベッド上安静か、売店までの移動はOKかなど)にしたがって介入します。

 感染症の患者さんは、多くの人が集まるリハビリ室ではなく、病室のベッド上でリハビリ対応することも多いです。また、患者さん個人の事情によっては、リハビリの単位を分けて行うこともあります。
 例えば、1日2単位(40分)の介入が必要な場合は、1単位(20分)ずつ午前と午後に分けて工夫を行っていました(図1)。相談者さんの話のように、実際にリハビリで困ったことがあればどんどん相談してもらってよいと思います。

ナースとリハスタッフでできる工夫

 基本的には朝、カルテに載っている情報は見ていますが、急な発熱時には、「○○さん発熱があるので、今日のリハビリは中止で」と、担当のリハビリスタッフか、リハビリ室に一報もらえるとうれしいです。

 また、病棟にいるナースの名前と顔が一致しないことも多く(マスクをしているため顔がわかりにくい)、名札を見やすいところにつけるナースやリハビリスタッフの顔写真と名前がわかる一覧表をつくるのもよいですね。または、どのスタッフが担当者なのか、リーダーなのか、ホワイトボードなどですぐに確認できるようになっているとスムーズです。

 回復期リハビリテーション病院ではリハビリの回数が多いので、リハビリのスケジュールがナースにも患者さんにもわかるように廊下に貼りだされているところもありますが、そうした工夫も有効だと思います。お互いに気軽に声かけができる、すぐに共有できるものを使ってうまく連携していきたいですね!

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この記事は『エキスパートナース』2021年8月号連載を再構成したものです。
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