特に意識して水分出納(in-out)を確認すべき状況や病態とは?今回は体液が乱れる状況の1つ、出血を取り上げます。細胞外液の不足によって現れるサインや、バイタルサインの変化、初期輸血や輸血といった対応について解説します。
「in-out(水分出納)をみるのはこんなとき!」の連載まとめはこちら
出血(in<out)
関連する病態
●循環血液量減少性ショック

出血とは?
出血とは、血液(全成分)が血管外に漏出することです。出血が大量になると、全身への酸素・栄養素の供給ができなくなり生命が脅かされます。
出血には、腹腔や胸腔などへの内出血と、体外への外出血があります。内出血の場合外観からはわかりにくく、貧血や出血性ショック、あるいは臓器の圧迫症状によって発見されることがあります。
出血をするということは、細胞外液20%のうちの、血管内液(血漿)の5%に影響するということです。つまり、“出血をして循環血液量が減少する”イコール“細胞外液が減少する”ことです。
出血が大量に起こると、循環血液量の減少(体液の喪失)が起こるので、心臓に戻る血液の量が減り、心臓を満たす血液が減少し、心拍出量が減るため血圧が下がります。
ベッドサイドで注意したい出血のサイン
細胞外液の不足:ショック徴候
出血が起こるということは、血球成分や血漿成分が血管外に出るということであり、細胞外液の不足を意味します。この場合、生体は末梢血管抵抗を大きくすることで血圧を上げようとするので、末梢血管は細くなります。その結果、末梢循環も悪くなり、末梢血管は見えにくく(蒼白)なります。
ショックなど微小循環が破綻するほどの細胞外液の不足ならば、毛細血管再充満時間(CRT)は延長(めやすとして3秒以上)し、末梢の皮膚は冷たくなります。また、心拍出量を維持するために、心拍数も増加します。さらに、細胞外液の減少が顕著ならば心臓に戻る血液量が減ることから、圧の減少が伴い頸静脈の虚脱が起こります。
細胞外液の不足:ツルゴール低下
舌や皮膚も、水分が減少することで細胞がしぼみます。その結果、舌ならばシワができ口腔内が乾燥、皮膚は緊張を失いつまみ上げた皮膚が戻るまでに数秒かかります(めやすとして3秒以上。皮膚ツルゴールの低下)。
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