NIVO+FOLFOX療法のレジメンの特徴や、副作用、ケアなど、看護師が知っておきたいポイントを解説! 『がん専門病院に学ぶ 簡単にわかる・現場で役立つ がん薬物療法看護 はじめてBOOK』の試し読み記事をお届けします。
NIVO+FOLFOXのレジメン
適応
HER2が陽性でない進行胃・食道がんの一次治療(1st ライン)として用いられる
治療目的
延命・症状緩和
コース数
治療効果がある限り継続する
薬剤
●ニボルマブ(オプジーボ®)=免疫チェックポイント阻害薬─ NIVO―FOLFOXレジメン
●レボホリナートカルシウム(アイソボリン®)=活性型葉酸製剤―FOLFOXレジメン
●オキサリプラチン(エルプラット®)=白金製剤―FOLFOXレジメン
●フルオロウラシル(5-FU)=代謝拮抗薬―FOLFOXレジメン
投与経路
皮下埋め込み型中心静脈(CV)ポートより点滴静注、側管投与あり
ルート・遮光の選択
輸液ポンプ用のフィルター付き輸液セット・遮光なし
投与スケジュール
1コース14日間で1日目に投与し、フルオロウラシルのインフューザーポンプは投与から46時間継続(がん研究会有明病院の場合)
実施方法
初回は入院、2コース目以降は外来

●ニボルマブの免疫関連有害事象(irAE)について理解し、指導を行う。
●急性と遅延性の末梢神経障害や投与中の蓄積性のアレルギー症状に注意する。
●手足症候群や下痢出現時の対応について指導する。
レジメンの理解
1 レジメンの特徴
NIVO+FOLFOX療法は、免疫チェックポイント阻害薬と細胞障害性抗がん薬を組み合わせた治療です。
レボホリナートカルシウム自体には抗腫瘍効果はありませんが、フルオロウラシルの抗腫瘍効果を増強させる薬剤です。
フルオロウラシルを2回投与しますが、最初に短時間で投与するフルオロウラシルは急速投与し、血中濃度を上げます。次にフルオロウラシルの持続投与を行います。インフューザーポンプを使用し、ボトル内のフルオロウラシルの入った風船が完全にしぼんだら投与終了となります。2コース目以降は外来治療となることが多く、患者自身で投与終了時にポート刺入部から自己抜針をする必要があります。
2 投与スケジュール
1日目にニボルマブとオキサリプラチンとフルオロウラシルの急速点滴後、フルオロウラシルを46時間持続点滴し、14日まで休薬して1クールとなります。
3 治療にあたり考慮すること
ニボルマブは免疫チェックポイント阻害薬です。
生体の免疫反応に関連することから、副作用として全身と各臓器に炎症反応に伴う免疫関連有害事象(irAE)が出現します。あらゆる器官で炎症が起こる可能性があり、重篤な症状が出現することもあり、投与開始前に患者へ説明して理解を得ます。
irAE を早期発見するために、患者自身または周囲のサポートする家族によるモニタリングが必要です。
●セルフモニタリングを継続して行うことができるか、投与前に確認しておきます。患者のアドヒアランスが良好であることが重要です。
副作用(表1)
このレジメンでは免疫チェックポイント阻害薬と細胞障害性抗がん薬を使用しているため、副作用出現時の治療が異なります。
それぞれの副作用の症状や時期・関連する症状から判断し、irAE である場合には早期に対応が必要となります。
細胞障害性抗がん薬による場合には、副作用症状に対するセルフケア支援を行います。
細胞障害性抗がん薬の副作用の共通項として、抗がん薬全般に消化器症状や骨髄抑制は出現します。

1 ニボルマブ
全身にさまざまな症状が出現します。
irAEが出現した場合は、早期に医療機関を受診し、治療を開始します。
2 オキサリプラチン
主な症状として、末梢神経障害があります。神経症状にも急性に現れるものと、晩期(慢性)に現れるものの2種類があります。
①急性末梢神経障害
オキサリプラチンの投与中から寒冷刺激によるしびれが出現します。これは冷たいものに触れると、その部分がビリっと電気が走ったような疼痛を伴うことがあります。そのため、冷たい飲みものや水道・冷風などにあたるとしびれを感じます。
咽頭の絞扼感や顎の開きにくさが出現してくることがあります。
②慢性末梢神経障害
オキサリプラチンの治療を継続していくと、徐々に薬剤が体内に蓄積され、指先が常にしびれている状態になってきます。
そうすると指先の細かい作業などが困難になり、足の感覚も鈍くなるため、転倒しやすくなることもあります。
③アレルギー
オキサリプラチンを複数回投与した後に蓄積性のアレルギー症状が起こることもあるため、投与中・投与後は気分不快や悪心、身体のかゆみ、呼吸困難感、発熱などアレルギー症状を見逃さないように注意が必要です。
●投与中から24時間以降も出現する可能性があります。
3 フルオロウラシル
消化器症状として、悪心や食欲低下、粘膜障害として口内炎や下痢なども出現します。
皮膚炎や手足症候群として、発赤や水疱、びらんが起こることがあります。
出現時期(表2)
抗がん薬の副作用は、点滴投与中から出現することがあります。
投与終了後、数週間経ってから生じる症状もあるため、特徴をおさえて注意します。

観察ポイント
ほとんどの場合、外来治療で行うレジメンなので、患者自身による観察ポイントになります。
1 投与中~当日
副作用の観察は、点滴投与中から必要です。点滴投与中はアレルギー・IRが出現していないか、早期発見につながる観察が大切です(表3)。

2 投与2日目以降
①粘膜障害
5日目以降は特に口内炎が発症しやすい時期になるので、口腔内の観察も十分に行います。
粘膜障害により下痢が出現することがあるため、排便状況も確認します。
②全身状態
腹部症状を観察し、便秘になっていないか、悪心や食欲不振の有無、倦怠感の有無などを確認していきます。
その際にirAEによる症状も考えられ、症状出現時は早急に医師に報告し対応します。
③慢性末梢神経障害
手指・足趾の末梢神経障害の状況を確認し、日常生活で支障をきたしているか確認していきます。
看護ケア
1 末梢神経障害(CIPN)
オキサリプラチンの副作用には末梢神経障害があるため、投与時から寒冷刺激は控えるように指導します。飲料水などは常温にするよう説明し、外気温やエアコンの冷風によってもしびれをきたすため、日常生活についてイメージしやすいよう伝えます。
●急激なしびれや麻痺などが生じ、持続する場合はirAEの可能性があるため、病院へ連絡するよう指導しておきます。
オキサリプラチンを継続していくと、徐々に末梢神経障害が出現していきます。
ボタンの付け外し・経口薬をシートから取り出す・箸を使う・ものを書くなど細かい作業が困難になります。その際は、薬剤の減量や休薬などの対象となってくるため、継続した観察が必要となります。
●外来治療で続けていく患者がほとんどのため、冬の帰院時には防寒具を用意しておくよう指導します。外気温が低いと、呼吸時に咽頭の絞扼感を感じることがあるため、マスクの使用を勧めることがあります。
2 骨髄抑制
治療2週目には骨髄抑制の期間に入るため、含嗽・手洗いを十分に行い、人混みに出かける際はマスクを使用するなど感染予防を指導します。
生ものは控えて、食事は新鮮なものを摂取するようにします。
もし、骨髄抑制のリスクがある期間に発熱などが起きた場合は、好中球が減少したことによる発熱なども考えられるため、抗菌薬と解熱鎮痛薬の内服について指導しておきます。ただ、irAEによる発熱も考えられるため、発熱した際は病院に連絡するように指導します。
3 免疫関連有害事象(irAE)
早期発見のため、自宅で日々体調を記載できるような「治療日誌」を活用し、毎日、症状の出現の有無を確認できるようにします。
外来での投与の場合、症状出現時の「緊急時の連絡方法」をわかりやすく指導しておき、すぐに病院へ連絡するように伝えます。
4 皮膚障害
治療開始時より全身、特に手足の保湿方法を指導します。
皮膚障害が出現した場合は、医師に報告するように伝えます。
5 CVポート部の管理
46時間後にフルオロウラシルの投与が終了したら、抜針が必要になります。
病院に来院し、医療者に抜針してもらうところもありますが、がん研究会有明病院では患者または家族が自己抜針しています。そのため、抜針方法を正しく・安全に行うために患者指導が必要となります。
CVポート部の皮膚症状や疼痛、CVポートを鎖骨下に挿入しているほうの上肢に生じる浮腫など、自覚症状の観察を行うよう指導します。
- 1)日本臨床腫瘍学会編:がん免疫療法ガイドライン 第3版.金原出版,東京,2023.
2)国立がん研究センター内科レジデント編:がん診療レジデントマニュアル 第9版.医学書院,東京,2022.
3)濱口恵子,本山清美編:がん化学療法ケアガイド 第3版.中山書店,東京,2020.
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がん専門病院に学ぶ 簡単にわかる・現場で役立つ
がん薬物療法看護 はじめてBOOK
鈴木美穂、山口正和、羽田 忍 編著
B5・224ページ
定価:2,970円(税込)
照林社
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