新人ナースにとって、これからの看護師人生のためには“将来の選択肢をつくる力”も大切です。お金のことと、働き方・キャリアのプロであるきたじーさんに、新人ナースが働くうえで意識しておきたい3つのポイントを教えてもらいました。

3つのポイント

①「今」は人生の通過点。まわりと比べず自分を肯定しよう
②辞めずに好条件を活かして、賢くキャリアを積み上げよう
③貯蓄グセとメリハリ支出で、自分らしい未来をデザインしよう

①「今」は人生の通過点。まわりと比べず自分を肯定しよう

 新人ナースの皆さんは、これから看護師としてがんばろう! と張り切っているかと思います。なかでも、『エキスパートナース』を手に取っている新人さんは、勉強熱心な方が多いのではないでしょうか。でも、最初からエンジンをフルスロットルさせていると、だんだんとしんどくなってくるものです。

昨日の自分と比べて、できたことを褒める

 1年目は、「今」しか見えない傾向があります。なので、先輩に少し厳しく注意されると、「今」だけではなく、自分のすべてを否定されたような気がしてしまいます。特に、まじめだったり、挫折経験が少なかったりすると、「すぐできるのがあたりまえ」と思いがちかもしれませんが、そんなことはないんです。

 就職したてのころは完璧をめざさず、50%を超えたら及第点、くらいの心持ちでよいと思いますよ。まわりと比較するのではなく、昨日の自分と比べて、何か1つでもできるようになっていたらOKです。「今」だけにとらわれずに、20~30年後のビジョンを考えてみてはどうでしょうか。

人生における味方や安心できる居場所を見つける

 自分自身のSOSに気づくためには、「朝、元気よくあいさつできているか」「いつもどおりご飯を食べられているか」など、チェックポイントを設けておくといいですね。

 また、長い人生のなかで、自分の味方になってくれる人を見つけることはとても重要です。親、友人、先輩など、一緒にいて落ち着ける人はいますか? “人”が難しければ、“場所”でもかまいません。家と職場以外の、第3の場所(サードプレイス)です。近所のカフェや趣味を楽しめる場所など、「ここにいれば大丈夫」という安心感をもてる居場所を探してみましょう。

②辞めずに好条件を活かして、賢くキャリアを積み上げよう

 早い人だと5月くらいから転職を考え始めます。5月の大型連休中に実家へ帰り、親から「しんどいなら戻っておいで」などと言われて気持ちが揺らぐパターンですね……。

 1年目ナースが転職を考える時期としては、その次の6月が多いと思います。ひとり立ちする時期で不安と緊張が強いのに、カレンダーどおりだと連休がなく、リフレッシュしづらいのが要因。さらに、それを見計らったかのように、転職サイトからキャリア相談の連絡がきたりします。

新卒看護師の離職率は?

(文献1を参考に作成)

日本看護協会によると、病院新卒看護職員の2023年度内離職率は8.8%。直近の過去2年間(2021年度・2022年度)は10%台だったが、改善傾向がみられる。

今の職場のよさは辞めてから気づく

 転職をした先輩ナースからは、「辞めた後で、新卒で就職した病院の福利厚生のよさに気づいた」との声をよく聞きます。じつは、新卒では入れるけれど、中途では入れない病院というのがあって、そうしたところは待遇がよいケースが多いんです。また、1年目からのカリキュラムをしっかりと組んでいるために、第2新卒を受け入れていない病院もあります。

まずは有休取得、病棟異動の相談を

 転職の前に、まずは有給休暇をとる。それでもだめなら、病棟異動ができないか相談してみましょう。1年目で転職しても道が開けるとは限らず、むしろキャリアの幅が狭くなってしまう可能性があります。辞めるは一瞬、後悔は一生です。

 どうしても転職しか方法がない場合は、どの程度の生活レベルを維持したいかを軸に転職先を探してみてください。

③貯蓄グセとメリハリ支出で、自分らしい未来をデザインしよう

 キャリアを考えるうえで、切り離せないのが「お金」です。1年目のときから最低限、給与明細を確認するようにしましょう。いくらもらって、いくら使っているのかを把握しておくことが、まずは大事です。

給与明細を確認、メリハリをつけてお金を使う

 資格取得、引っ越し、結婚など、今後のライフイベントを見すえると、貯金をするクセをつけておくことは大切。給与が振り込まれたタイミングで一定額を別口座に移す「先取り貯蓄」がおすすめです。目安は月1~2万円程度。加えて、賞与の半分程度を貯金できるとよいです。

 とはいえ、仕事が慣れないなかで貯金のために無理に自炊するなど、がんばりすぎるのはNG。自分のためにも、遊ぶときや本当に欲しいものにはお金を使い、メリハリをつけるようにしましょう。

先取り貯蓄って?

給与が入るタイミングで一定額を別口座に移して貯蓄に回すこと。生活費は残ったぶんでやりくりすることで、確実に貯金ができる。

無駄遣いを防ぐためのポイント

 お金の使いすぎを防ぐためには、①夜勤明けはなるべく買い物をしない、②外では「看護師」と明かさない、この2点がポイントです。

 夜勤明けは気分が解放的になり、散財してしまいがち。「看護師」と明かさないとは、例えば、百貨店の化粧品売り場や、エステサロンなどにおいてです。若手だと、看護師は一般の会社員よりも給与が高いイメージをもたれているため、お店のスタッフも営業に気合を入れるんですよね。予算よりも高い買い物をしないためにも、「会社員」と言っておくのが無難です。

看護師の平均給与は?

看護師:平均年収 519.7万円
全職種:平均年収 526.9万円

20~24歳の看護師:平均年収 427.7万円
20~24歳の全職種:平均年収 346.7万円

(文献2を参考に作成)

きたじーさんからのメッセージ

 「1年目」は、長い人生のなかのほんの一部分です。大変だと思いますが、「自分に期待しすぎない」「まわりと比べない」「自分を褒める」ことを意識するだけでも気が楽になると思います。元気に出勤できてえらい!と、まずは今日できたことを振り返ってみましょう。仕事は“リアルの付随”にすぎません。リアルを充実させるために、仕事とどう付き合っていくかを考えてみてはいかがでしょうか。

1.日本看護協会:「2024年 病院看護実態調査」結果.
https://www.nurse.or.jp/home/assets/20250331_nl1.pdf(2026.3.19アクセス)
2.厚生労働省:令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況.
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2024/index.html(2026.3.19アクセス)

※この記事は『エキスパートナース』2026年4月号特別記事を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。