せん妄のメカニズムを知れば、効果的な対応・ケアが見えてきます!今回はがん終末期のせん妄、術後せん妄、集中治療中のせん妄患者を含む鎮静、難治性せん妄、それぞれの場合の薬剤選択について解説します。
1)がん終末期のせん妄
がん自体、全身状態の悪化からせん妄が非常に起こりやすく、終末期のせん妄有病率は8~9割に達します1。せん妄リスクとなるステロイド、オピオイドなども症状緩和に頻用され、中止が困難なことが多いです。
オピオイドスイッチングなど修正可能な因子への対応を行ってもせん妄が続く場合は、抗精神病薬を早めに投与することがあります。
制吐薬も兼ねてジプレキサ®やセレネース®などが選択されることがありますが、ナウゼリン®、プリンペラン®といった制吐薬を抗精神病薬と併用すると、錐体外路症状などの副作用が出やすくなります。

2)術後せん妄
術後せん妄は手術侵襲によるサイトカインなどが主な原因で、通常夜間せん妄の病像をとり、1週間以内には軽快します。1週間以上持続する、徐々に悪化する、日中も改善しない場合は、感染、縫合不全、薬剤などによるせん妄を検討します。
経口摂取が困難となる場合、セレネース®の点滴投与が一般的ですが、副作用が出やすいため内服可能になったら他剤への切り替えを検討します(糖尿病合併がない夜間せん妄なら、セロクエル®などに切り替えます)。

3)集中治療中のせん妄患者を含む鎮静
この記事は会員限定記事です。