よくある酸素療法中の管理の場面のギモンに答えます。

事例

COPDの急性増悪で入院した80代男性患者さん。pH7.21、PaCO288mmHg、PaO262.1mmHgと、酸素化が悪い状態でした。経鼻カニューレで、酸素流量4L/分で開始し、PaO2は改善しましたが、PaCO2が90mmHgとなってしまいました。

COPD患者のCO2ナルコーシスのリスク

 事例の1回目の血液ガス分析の結果では、PaCO2は88mmHgと高く、pH7.21と酸性(アシデミア)となっていることから、呼吸性アシドーシスであると判断できます。

 さらに、PaO2 62.1mmHgと酸素不足の状態に対して酸素投与をした結果、PaCO2はますます上昇しました。

 これは、COPD急性増悪による換気不全によって、体内にCO2が蓄積され、CO2ナルコーシス【第12回】図1参照)を引き起こした状態です。

 COPDなどによる、慢性的にCO2が高い状態の患者さんに対する酸素投与においては、CO2ナルコーシスを念頭に置きながら慎重に酸素投与を行わなければなりません。PaO2が低い値を示したからといって、けっして安易に酸素吸入を行ってはいけません

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