近年、がんに対する研究の進展によって、これまでの抗がん薬とは異なる作用機序をもつ薬が誕生しています。これらの基本的な知識やケアの要点について解説します。
免疫チェックポイントと免疫チェックポイント阻害薬のしくみ
● がん細胞は、体内に備わっている免疫監視機構をかいくぐって増殖しようとする。
● 免疫監視機構から逃れようとするところを阻害し、免疫の攻撃力を支援するようにはたらくのが免疫チェックポイント阻害薬である。
がん細胞への攻撃は通常、T-リンパ球とNK細胞が担っています。体内に発生した異常な細胞は、異物と認識され、排除されることになります。
このような免疫によって異常細胞の増殖は抑えられていますが、なかにはこれをかいくぐるものがあります。
本項目のテーマである「免疫チェックポイント」とは、免疫制御反応を司る分子のことで、PD-1、PD-L1、CTLA-4などがあります(図1)。
がん細胞は、この免疫チェックポイントのはたらきを最大限に利用して免疫監視機構から逃れて増殖します(図2)。
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は、免疫チェックポイント分子、もしくはそのリガンド(受容体の、結合部位に特徴的に結合する物質のこと)に結合して、免疫抑制シグナルを阻害することで、免疫系ががん細胞を攻撃する力を保つようにはたらく薬剤です(図2)。
がん治療・ケアの最新知識【第3回】免疫チェックポイント阻害薬の効果と適応がん種
この記事は『エキスパートナース』2023年1月号特集を再構成したものです。
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