近年、がんに対する研究の進展によって、これまでの抗がん薬とは異なる作用機序をもつ薬が誕生しています。これらの基本的な知識やケアの要点について解説します。

おさえたいポイント

● 免疫活性化により、正常臓器への免疫関連有害事象(irAE)を起こすことがある。
● 有害事象が生じた際には、重症度(グレード)に応じた対応をとる。

 免疫チェックポイント阻害薬は免疫系を活性化するため、正常臓器に対する過剰な免疫反応に由来する免疫関連有害事象(irAE)を起こすことがあります。irAEの特徴には、以下の3つがあります。

①自己免疫疾患に似た、または炎症性の症状を呈する。
②同時に、複数の臓器に由来する症状を呈することがある。
③発症する時期は、個人差がきわめて大きい。

 例として、ニボルマブ単剤による有害事象の報告を示します(表1)。

 免疫チェックポイント阻害薬に殺細胞性抗がん薬や血管新生阻害薬を併用した場合の有害事象は、一般にそれぞれの有害事象が加算されますが、相乗的に重症化するわけではありません。
 他方、免疫チェックポイント阻害薬同士(ニボルマブ+イピリムマブ)の併用によるirAEは重症化し、より早期に起こる傾向があります(表2)。

表1 ニボルマブ単剤有害事象のまとめ(N=3,823)
ニボルマブ単剤有害事象のまとめ(N=3,823)
(文献1、2を参考に作成)
表2 ニボルマブ+イピリムマブ併用有害事象のまとめ(N=2,207)
ニボルマブ+イピリムマブ併用有害事象のまとめ(N=2,207)
(文献3を参考に作成)