民俗学者の折口信夫はものごとを分割する性向を「別化性能」、同じようにまとめあげる性向を「類化性能」と呼びました。どちらかというと、医療者は別化性能が強く、細かく細かく分類、分割していくことを好みがちです。昨今、ますます進んでいる専門分化がその象徴です。

 しかし、「まあ、医者もナースも医療者ってくくりで言えば、同じじゃね?」という類化性能も時に発動させたほうが便利なこともあります。
  
 その先にあるのが「チーム医療」です。チーム医療は単なる分業ではありません。異なる職能の人たちが集まり、「同じ目標」に向かい、「同じ医療者」として患者さんとその周辺に尽くす姿をいいます。少なくともぼくはそうだと思っています。そのとき、「ぼくは医者、あなたはナース」みたいなタコツボ根性を丸出しにしていては、なかなか同じ方向は向けないのではないでしょうか。「ぼ~くたち~地球人♪」とおおらかな類化性能を発動させたほうが、チーム医療は成功する可能性が高いとぼくは思っています(この歌がわかる世代とチンプンカンプンな世代を分割するかどうかも、恣意性のなせる業です)。
 
 長々とした与太話が続きました。「何が言いたいのか、いいかげんに結論を言え!」と忙しいあなたには叱られそうです。じゃ、結論を言います。要するに「ぼくの話をちょっと聞いてください」ってことです。
 
 本書では主に「ロジカルに考えること」について話していきます。ロジカルに考えるとオトクなことがいっぱいあります。本書を読んで、大いにトクをしてください。

考えるナース【第2回】なぜ、ロジカルに考えられないのか?①

ただいま本誌で連載中!

『考えることは力になる ポストコロナを生きるこれからの医療者の思考法』

岩田健太郎 著
照林社、2021年、定価1,430円(税込)
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