神経難病の終末期には、どのようなサインが現れるのでしょうか。特に筋萎縮性側索硬化症(ALS)について、疾患軌道の変化などを解説します。

ALSは、ADL低下の状態が継続したのち死期が近づく

 神経難病の代表疾患としては、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多系統萎縮症(MSA)、進行性核上性麻痺*1、脊髄小脳変性症*2、およびパーキンソン病などの神経変性疾患が挙げられます。

 いずれも根本的な治療法が確立されておらず、進行性で、頻度が少ないという特徴があります。そのため、患者・家族のみならず専門外の医療従事者にとっても、イメージがつかみにくい疾患群ではないでしょうか。

 本稿では特に、身体・精神・社会・スピリチュアルすべての側面でマネージメントが難しいALSについて解説します。

*1【進行性核上性麻痺(progressive supranuclea palsy:PSP)】=基底核と脳幹が障害されることにより生じる。歩行障害や眼球の運動障害、認知症などの症状がみられる。
*2【脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration:SCD)】=小脳が障害を受けることにより生じる。ふらつきや構音障害、協調運動障害など、主に運動失調がみられる。

発症から死亡までの期間の個人差が大きい

 ALSは、運動ニューロンに障害が生じる疾患で、筋肉の萎縮や筋力の低下により、麻痺や嚥下機能障害といった症状を呈します。

 発症から診断が確定するまで約1年を要し、発症から数年で寝たきり状態となります。そのあいだ、摂食嚥下障害が進行したり、呼吸筋麻痺による呼吸不全が進行していきます。

 死亡、もしくは気管切開下陽圧換気(TPPV)による人工呼吸器装着までの期間は、発症から20~48か月と報告されています1

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