状態が悪化し入院したがん以外の疾患の終末期の予後はどのように進行するのでしょうか?看護師はどのように介入できるのでしょうか。知っておきたい終末期の状態や、緩和医療の適切な進め方について詳しく紹介する連載です。

【第1回】非がん患者への緩和ケアの最新の考え方

〈目次〉
●緩和ケアとは
●日本のホスピス緩和ケアは「がん(悪性疾患)」に偏りがち
・WHO による緩和ケアの定義(2002年)
●疾患別に、緩和ケアを実施するか否かを決めるべきではない

【第2回】緩和ケアの担い手は?

〈目次〉
●緩和ケアの研修を受けていなくてもケアは可能
●看護師には、地域の緩和ケア医療におけるリーダー役が期待される

【第3回】緩和ケアの知識がない場合はどうする?

〈目次〉
●「緩和ケアマインド」とは、患者さんの助けになりたいという気持ち
●ふだんのケアよりも「緩和ケアマインド」を深く意識する

【第4回】臓器不全、認知症/フレイルの予後

〈目次〉
●がん、臓器不全、認知症/虚弱高齢者(フレイル)の病の軌跡

【第5回】予後予測ツールやサプライズクエスチョンの活用方法

〈目次〉
●予後予測ツール:SPICT-JP™が利用しやすい
●サプライズクエスチョン:「目の前の患者さんが半年あるいは1年以内に死亡したら驚くか?」を自問
●患者さんに厳しい病状説明がなされたら、告知後のサポートに留意する

【第6回】トータルペインの評価

〈目次〉
数値化した評価だけでなく質的な評価も重要視する
・非がん疾患の終末期の苦痛は、がんを上回る場合がある
・苦悩の質的な評価のために、「患者さんの語り」を重視する
・チーム医療によって、全人的サポートを行う

【第7回】包括的アセスメントの流れと評価ツールの活用

〈目次〉
●疾患ごとに症状は多様なため、包括的症状評価ツールを活用
・アセスメントの際は、がん患者と同様のアプローチを行う
・非がん疾患ごとでみられる症状の違いを把握する

【第8回】苦痛への対応の流れ

〈目次〉
●スクリーニングフローを全病棟で運用した施設横断的緩和ケアが必要
・痛みなどの症状への各病棟の対応に関する流れ(亀田総合病院の例)

【第9回】緩和ケアの倫理規範:自分自身が受けたいケアを考える

〈目次〉
●目の前の患者の受けているケアを自分自身が受けたいかを考える
・患者の苦しみを真の意味で理解することは困難
・一度立ち止まって、患者の経験する苦しみについて考える
・緩和ケアアプローチを実践する際

【第10回】非がん疾患の終末期の注意点

〈目次〉
●急性増悪と終末期の区別がつきにくいことで、QOLを損ねてしまう
●予後の予測が困難なため、経時的に評価を検討する

【第11回】慢性呼吸器疾患の終末期に現れるサイン

〈目次〉
●身体機能やQOL、呼吸機能の低下に注意
COPDの病期分類
・COPD入院患者の終末期のサイン

【第12回】慢性呼吸器疾患の終末期における症状・病態の変化

〈目次〉
●呼吸困難・咳嗽・喀痰を中心とした、呼吸機能低下がみられる
・修正Borgスケール
・Respiratory Distress Observational Scale(RDOS)
・COPDで終末期にみられる変化
・発性肺線維症で終末期にみられる変化

【第13回】慢性呼吸器疾患の終末期ケア

〈目次〉
●呼吸困難だけでなく、不安や睡眠障害に対しても薬物療法や環境調整を行う
・呼吸困難に対する看護的介入

【第14回】心不全の終末期に現れるサイン

〈目次〉
慢性心不全の急性増悪による入院がくり返されるように
・心不全とそのリスクの進展ステージ
・心不全増悪による再入院の予測因子

【第15回】心不全の終末期における症状・病態の変化

〈目次〉
●ADL、QOLが低下するが、ステージは回復することも
・心不全の終末期にみられる症状
・心不全患者の意思決定のタイミング

【第16回】心不全の終末期ケア

〈目次〉
●呼吸困難、疼痛、全身倦怠感、精神症状に対する薬物療法とケア
・心不全の各症状への看護的介入

【第17回】肝不全の終末期に現れるサイン

〈目次〉
●「Child-Pughスコア」「MELDスコア」が予後の指標に
肝硬変の合併症と予後

【第18回】肝不全の終末期における症状・病態の変化

〈目次〉
●終末期の話し合いは「Child-PughスコアCまたはMELDスコア>30」のタイミングで
・肝不全の非代償期にみられる症状

【第19回】肝不全の終末期ケア

〈目次〉
●疼痛、浮腫・腹水、肝性脳症、皮膚掻痒は強い苦痛となる
①疼痛:鎮痛薬を使用
②浮腫・腹水:利尿薬の使用、腹腔穿刺(利尿薬に反応しない腹水の場合)
③肝性脳症:糖類下剤(ラクツロース)の投与
④皮膚掻痒:保湿、清潔、鎮痒薬の使用

【第20回】脳卒中の終末期に現れるサイン

〈目次〉
●認知機能低下やコミュニケーション能力の低下に注意
・発症30日以内の死亡率は20~30%
・包括的な指標やホスピス導入の基準が“終末期”のサインとして参考に
脳卒中の疾患軌道は複雑
②SPICT™や米国の基準を参考にできる可能性がある
・「SPICT™」における「神経疾患の指標」
・脳卒中におけるホスピス適応の基準

【第21回】脳卒中の予後予測と終末期における症状

〈目次〉
●脳梗塞の再発や誤嚥性肺炎をくり返すことなどにより予後予測は難しい
・脳卒中の終末期にみられる症状

【第22回】脳卒中の終末期ケア

〈目次〉
●内服困難になった場合には、投与薬剤を見直す
●身体面だけでなく、栄養リハビリテーションも実施する

【第23回】認知症の終末期に現れるサイン

〈目次〉
●歩行困難や嚥下障害、意思表示ができない様子がみられる
1)認知症のなかでも、アルツハイマー型認知症が特に多い
2)SPICT™ や三宅の基準が使用しやすい

【第24回】認知症の終末期における症状・病態の変化

〈目次〉
●次第に意思疎通が困難になり、肺炎などの症状がみられるようになる
1)主な症状は、 摂食嚥下障害ならびに肺炎と長期臥床に伴う苦痛症状
2)意思疎通が困難な場合は、PAINADで苦痛を評価する
●予後予測にはMRIが用いられる

【第25回】認知症の終末期ケア

〈目次〉
●経管栄養や抗菌薬治療を実施するかどうか検討する

【第26回】ALSの終末期に現れるサイン

〈目次〉
●ALSは、ADL低下の状態が継続したのち死期が近づく
●発症から死亡までの期間の個人差が大きい
●TPPVなどにより、重介護でも高いQOLを保てる

【第27回】ALSの終末期における症状・病態の変化

〈目次〉
●ALSでは認知機能低下やコミュニケーション障害、自律神障害などがみられる
●特に、球麻痺、低栄養があれば予後不良が示唆される

【第28回】ALSの終末期ケア

〈目次〉
●多様なケアが求められるが、特にコミュニケーション障害と呼吸困難に注意する
●コミュニケーション障害:文字盤など、コミュニケーションツールを用いる
●呼吸困難:自然経過や換気補助によって、 注意点・対応が異なる
①自然経過または NPPV 実施の場合:CO2ナルコーシスに注意
・モルヒネの導入基準
②TPPV 実施の場合:血圧変動などの身体面に加え、アドバンス・ケア・プランニングが重要

【第29回】看護計画における緩和ケアの重要性

〈目次〉
●緩和ケアの定義
●“引き算のケア”のために「思考のシフトチェンジ」を行う
・ケアを見直して、余分なケアを取り除く
・「患者さんにとっての最善を考える」ことや、「見守る」こともケア
●患者・家族の語りから、医療者と患者・家族との認識のズレを修正する

【第30回】インフォームド・コンセントにおける看護師の役割

〈目次〉
●インフォームド・コンセントの場で、調整役としての役割を果たす
・適切なインフォームド・コンセントが行えていないことが多い
・看護師のかかわり方:自分が“どの立ち位置”でかかわろうとしているのか知っておく
①医療者との合意形成のしかた
②患者さんや家族との合意形成のしかた

【最終回】緩和ケアを意識した看護計画の実践

〈目次〉
●他職種からの情報も参考に、患者の日々の暮らしを意識した看護計画を立てる
・患者の「生活」を意識した看護計画の例