白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など、血液がんの最新の治療・ケアについて解説。血液がん患者さんの感染対策には、セルフケアが大切です。患者さんのセルフケア獲得に向けて看護師ができることを紹介します。
患者さん自身にセルフケアを習得してもらうことが大切
血液がんで入院する患者さんの治療は、化学療法、放射線療法、造血幹細胞移植*1が主となります。
化学療法では複数の薬剤を組み合わせた治療が行われ、治療によっては、副作用で好中球の著しい低下があるため、日常生活のなかで患者さん自身に感染予防行動の習得をしてもらうことがとても大切です。
また、造血幹細胞移植を受ける患者さんは、大量化学療法と全身放射線療法を併せて行います。感染予防行動に加え、皮膚の保護ケアと清潔保持が必要となります。そのため、患者さん自身がセルフケアを習得していくことが大切です。
セルフケアとは、自分自身をケアすること、自分で世話をする・面倒をみるということです。退院後の生活を見据え、入院中から習慣づけて行えるように取り組むことが重要です。
*1【造血幹細胞移植】=顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)により増加させた末梢血中の造血幹細胞を移植する治療法。化学療法や放射線療法が効きやすいがん治療が対象となる。大量の化学療法や全身への放射線治療が必要となる。
患者さんのセルフケア獲得に向けて看護師ができること
そこで私たち看護師は、入院した患者さんや家族に、退院後も患者さん自身で清潔を保ち、よりよい日常生活を送れるように、入院早期から感染予防行動を日常の習慣として身につけることができるよう、支援しています。
現在の社会背景をみても、在院日数の短縮や充床率の上昇などが進められていますが、血液内科においても例外ではなく、入院期間が短縮されるなかで患者さんの効率的なセルフケア取得に向けての支援が必要となります。
そのために医師や看護師だけでなく、リハビリテーション職(理学療法士など)、心理士、薬剤師、栄養士など多職種との連携をとり、医療チームで支援します。 また、退院後の造血幹細胞移植患者に対しては、LTFU*2(造血幹細胞移植患者治療後フォローアップ外来)で看護師が継続的にしてフォローしています(図1)。
*2【LTFU】=Long Term Follow-Up(長期間のフォローアップ)の頭文字をとったもの。
図1 退院後のLTFU受診のタイミングと留意事項

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