便秘には、ときには重篤化する病態が潜んでいることも。重篤な便秘の見きわめ方を知りましょう。まずは、重篤な便秘の定義を確認。ふつうの便秘との違いを紹介します。
重篤な便秘の定義は?
重篤な便秘とは、便が停滞することによって、腸閉塞・腸管虚血症の続発症を併発した便秘症のことです(図1)。放置すると敗血症・腸穿孔・腹膜炎と進行し、さらに重篤な病態となります。

視点を変えると、腸管虚血症のなかで、限局型で亜急性疾患のところに位置づけられます(表1)。

●潰瘍や虚血性腸炎などにつながる、キケンな便秘症のことです。
●放置すると敗血症、腸穿孔、腹膜炎などから重篤な病態に移行します。
「便秘」と「重篤な便秘」の境目
便秘症の患者さんは、便が出ないということが常態化しており、それに応じて緩下剤を服用しています。それ自体はふつうのことであり、緩下剤の服用があっても排便コントロールがうまくいっていれば問題はありません。
「排便コントロールがうまくいっている」とは、“次の排便時期が予測できる”と言い換えることができます。逆に、排便間隔が不規則になり、次の排便がいつなのか不明なときは、大腸に溜まっている便量が増えていることが多いのです。
「便秘」から「重篤な便秘」へのターニングポイントは、排便間隔が不規則になり、かつ刺激性下剤や浣腸・坐剤を用いても反応便が見られないときと考えられます(図2)。これ以降はさらに、患者さんの状態をよく観察していく必要があります。

- 1. 古畑智久,平田公一,秦史壮,他:血管病変に起因する腸疾患の分類.消化器外科 2005;28(1):17-23.
【第2回】重篤な便秘のはじまり「糞便塞栓」とは?(6月17日配信予定)
※この記事は『エキスパートナース』2016年6月号特集を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。