単独の観察だけでは判断できないケースが多い脱水。参考になるのが、感度と特異度です。感度と特異度に注目しながら、複数の観察を行うことが大切。ポイントをお伝えします。
「in-out(水分出納)をみるのはこんなとき!」の連載まとめはこちら
本連載の中でも脱水や溢水にかかわる多くの観察ポイントが示されていますが、単独の観察ではその病態(今回の場合では脱水・溢水)を言い切れないケースが少なくありません。
このとき、「感度」「特異度」などの統計学を参考にする場合があります。
感度
●特定の疾患や状態にある集団のなかで検査陽性と判定される割合のこと
●陰性の場合には疾患を除外するのに役立つ
特異度
●特定の疾患や状態をもたない集団の中で、検査陰性と判定される割合のこと
●陽性の場合には疾患を診断するのに役立つ
*感度が高い観察または検査で“陰性”となれば、その疾患に罹患している確率は「低い」
*特異度が高い観察または検査で“陽性”となれば、その疾患に罹患している確率が「高い」
表1 体液量減少に対する身体徴候の診断正確性
脈拍増加(>30回/分)
感度:43% 特異度:75%
起立性低血圧(sBp低下20mmHg)
感度:29% 特異度:81%
腋窩の乾燥
感度:50% 特異度:82%
口腔内の乾燥
感度:85%*1 特異度:58%
舌の乾燥
感度59% 特異度:58%
舌の縦溝
感度:85% 特異度58%
眼球陥没
感度:62% 特異度:82%
意識混沌
感度:57% 特異度:73%
CRT(capillary refilling time)
感度:34% 特異度:95%*2
(文献1より引用)
【*1】感度で比較的「高い」のは“口腔内の乾燥”。つまり、乾燥の所見が「ない」場合は脱水の可能性は低くなる。しかし、口腔内の乾燥の特異度は58%と「低い」。つまり、脱水であっても約半数は、この所見はないと統計学上出ているということ。要するに、口腔内の乾燥だけの所見をとっても脱水ではないとは言い切れない。
【*2】特異度の高い検査は“CRT”。特異度95%であり、CRT“陽性”所見があれば、かなりの確率で脱水の診断を高める。しかし、CRTの感度は「低い」。その所見がないからといって脱水ではないとは言い切れない
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