看護師としてのキャリアアップをめざすうえで知っておきたい、認定看護師と専門看護師。それぞれの役割や認定の条件などを紹介します。認定看護師と専門看護師の違いもまとめました。

認定看護師とは?

 認定看護師は、特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識をもっているとして、日本看護協会の認定を受けたナースです。認定看護師制度は下記を目的としています。

〈制度の目的〉
特定の看護分野における熟練した看護技術および知識を用いて、あらゆる場で看護を必要とする対象に、水準の高い看護実践のできる認定看護師を社会に送り出すことにより、看護ケアの広がりと質の向上を図ること。

 2025年12月時点の認定看護師の数は25,802人で、平均年齢は48.6歳。病院をはじめ訪問看護施設、クリニック、介護保険施設、大学など、さまざまな場所で活躍しています。

認定看護師の役割とは?

 認定看護師の役割は3つ。①実践、②指導、③相談です。

①実践
個人、家族および集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看護技術および知識を用いて水準の高い看護を実践する。

②指導
看護実践を通して看護職に対し指導を行う。

③相談
看護職等に対しコンサルテーションを行う。

認定看護分野とは?

 医療提供体制の変化や将来のニーズに合わせて、2020年度より新認定看護師制度がスタートしました。改正点のポイントは、認定看護教育に特定行為研修が組み込まれたこと。看護分野はA課程のほかに、B課程ができました。

 新制度を修了すると、「特定認定看護師」を名乗れます。A課程を修了した認定看護師も、特定行為研修を修了し必要な手続きを行うことで、B課程認定看護師になることができます。

 なお、A課程の教育は2026年度で終了。A課程認定看護師の認定審査は、2029年度まで実施されます。更新審査は引き続き行われるため、A課程認定看護師資格を継続することが可能です。

認定看護師になるには?

 認定看護師になるまでの流れは下記のとおりです。

●看護師免許取得後、実務研修が通算5年以上(うち3年以上は認定看護分野の実務研修)

●認定看護師教育機関に入学し、800時間程度(B課程の場合)の認定看護師教育を修了

●認定看護師認定審査

●認定看護師認定証交付・登録(5年ごとに更新)

 認定看護師は、認定看護師教育を修め、認定審査に合格することで取得できます。認定看護師教育機関に通学し、主に平日の昼間開講される授業(開講期間は1年以内)を受ける必要があります。

 認定審査は年1回実施。筆記試験(マークシート方式・四肢択一・100分)で、共通科目を含めた各認定看護分野の教育基準カリキュラムから出題されます。

専門看護師とは?

 専門看護師とは、特定の専門看護分野において卓越した看護実践能力を有することを日本看護協会から認められたナースのこと。専門看護師の人数は2025年12月時点で3,644人、平均年齢は47.8歳です。

 専門看護師制度は下記を目的とし、難解な看護問題をもつ対象への水準の高いケアの提供や保健医療福祉への貢献など、高度な要求がされています。

〈制度の目的〉
複雑で解決困難な看護問題をもつ個人、家族及び集団に対して水準の高い看護ケアを効率よく提供するための、特定の専門看護分野の知識・技術を深めた専門看護師を社会に送り出すことで、保健医療福祉の発展に貢献し併せて看護学の向上をはかること。

専門看護師の役割とは?

 専門看護師は、専門看護分野において下記6つの役割を果たします。

①実践
個人、家族及び集団に対して卓越した看護を実践する。

②相談
看護者を含むケア提供者に対しコンサルテーションを行う。

③調整
必要なケアが円滑に行われるために、保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーションを行う。

④倫理調整
個人、家族及び集団の権利を守るために、倫理的な問題や葛藤の解決を図る。

⑤教育
看護者に対しケアを向上させるため教育的役割を果たす。

⑥研究
専門知識および技術の向上ならびに開発を図るために実践の場における研究活動を行う。

 以上のように専門看護師は、認定看護師の役割には含まれていなかった「調整」「倫理調整」「教育」「研究」の役割を担います。患者・家族の問題を総合的に捉えて判断する力と広い視野をもって、専門性を発揮することが求められています。

専門看護分野とは?

 専門看護分野は、以下の14分野です。

●がん看護
がん患者の身体的・精神的な苦痛を理解し、患者やその家族に対してQOLの視点から水準の高い看護を提供する。

●精神看護
精神疾患患者に対して水準の高い看護を提供する。また、一般病院でも心のケアを行う「リエゾン精神看護」の役割を提供する。

●地域看護
産業保健、学校保健、保健行政、在宅ケアのいずれかの領域において水準の高い看護を提供し、地域の保健医療福祉の発展に貢献する。

●老人看護
高齢者が入院・入所・利用する施設において、認知症や嚥下障害など複雑な健康問題をもつ高齢者のQOL向上のために水準の高い看護を提供する。

●小児看護
子どもの療養生活を支援し、他の医療スタッフと連携して水準の高い看護を提供する。

●母性看護
周産期の母子および家族への支援、女性のライフサイクル全般にわたる健康への援助等、水準の高い看護ケアを提供する。

●慢性疾患看護
生活習慣病の予防、慢性疾患の管理、健康増進、療養支援などに関する水準の高い看護を行う。

●急性・重症患者看護
緊急度や重症度の高い患者に対して集中的な看護を提供し、患者と家族の支援、医療スタッフ間の調整などを行い、最善の医療が提供されるよう支援する。

●感染症看護
施設や地域における感染予防と発生時の適切な対策、感染症の患者に対して水準の高い看護を提供する。

●家族支援
患者の回復を促進するために家族を支援する。家族本来のセルフケア機能を高め、主体的に問題解決できるよう身体的、精神的、社会的に支援し、水準の高い看護を提供する。

在宅看護
在宅療養者と家族が、日常生活を送りながら在宅療養を続けることを支援する。新たなケアシステムの構築や既存のケアサービスの連携促進を図り、水準の高い看護を提供する。

●遺伝看護
対象者の遺伝的課題を見極め、診断・予防・治療に伴う意思決定支援と療養生活支援を行い、世代を超えて必要な医療・ケアを受けることができる体制の構築とゲノム医療の発展に貢献する。

●災害看護
災害の特性をふまえ、限られた人的・物的資源のなかでメンタルヘルスを含む適切な看護を提供する。平時から多職種や行政等と連携・協働し、減災・防災体制の構築と災害看護の発展に貢献する。

●放射線看護
放射線事故・災害における平時からの体制構築と健康課題を有する対象へ長期的な看護を提供する。放射線診療での水準の高い看護を提供するとともに、職業被ばく低減の方策等、施設における体制を構築する。

専門看護師になるには?

 専門看護師になるまでの流れは下記のとおりです。

●看護系大学院修士課程修了者で、日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準の所定の単位(総計38単位)を取得する

●看護師免許取得後、実務研修が通算5年以上(うち3年間以上は専門看護分野の実務研修)

●認定審査(書類審査・筆記試験)

●専門看護師認定証交付・登録(5年ごとに更新)

 専門看護師になるには、大学院に通う必要があるため、資格取得に時間を要します。
 専門看護師認定審査は年1回実施。書類審査と筆記試験(論述式)があり、試験時間は120分です。

認定看護師と専門看護師の違いは?

 認定看護師と専門看護師では、認定要件や求められる役割が異なります。いずれかを検討している場合は、下記も参考にしてみてください。

実務経験

〈共通〉実務研修が通算5年以上(うち3年間以上は専門看護分野の実務研修)

教育課程

認定看護師:認定看護師教育機関で800時間程度(B課程の場合)の認定看護師教育を修了
専門看護師:看護系大学院修士課程を修了し、所定の単位(総計38単位)を取得

認定時期

〈共通〉年に1回

審査方法

認定看護師:筆記試験(マークシート方式・四肢択一・100分)
専門看護師:書類審査・筆記試験(論述式・120分)

役割

認定看護師:①実践、②指導、③相談
専門看護師:②実践、②相談、③調整、④倫理調整、⑤教育、⑥研究

登録人数

認定看護師:25,802人(2025年12月時点)
専門看護師:3,644人(2025年12月時点)

1.日本看護協会ホームページ:認定看護師.
https://www.nurse.or.jp/nursing/qualification/vision/cn/index.html(2026.5.20アクセス)
2.日本看護協会ホームページ:専門看護師.
https://www.nurse.or.jp/nursing/qualification/vision/cns/index.html(2026.5.20アクセス)

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