胸腔ドレーンを入れた患者さんを受け持つとき、どこを見て、何に注意すべきかぱっと思い浮かびますか?胸腔ドレーンの忘れがちな基礎と、迷いがちな点を紹介します。
胸腔ドレーンはどんな場面で挿入される?
胸腔ドレーンは、胸腔内に空気や液体が貯留したときと開胸術後に行われます。図1のように、臓側胸膜と壁側胸膜の間の胸膜腔に挿入され、その目的は、胸腔内の空気や液体(胸水、血液、滲出液、膿瘍など)の排出です。
図1 胸腔ドレーンの挿入部位
胸腔内の排気・排液をすることで、胸腔内の陰圧を保ち、肺の膨張を促して、換気・酸素化の改善を図ります。胸腔内圧の変化により循環障害をきたしている場合は、循環動態の改善にもつながります。
一方で、挿入時は以下のような合併症にも注意が必要です。“挿入目的”や“期待する治療効果”を把握して、適切なドレーン管理を行うとともに、合併症の予防・苦痛緩和を図り、患者さんの早期回復につなげましょう。
胸腔ドレーンの合併症
- 肺損傷
- 皮下気腫
- 再膨張性肺水腫(虚脱肺の再膨張により血管透過性亢進が生じ、肺水腫をきたした状態)
- 肋間動静脈損傷
- 逆行性感染
- ドレーン閉塞