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採血にもガイドラインがある
看護師の皆さんのなかには、採血が得意な方(「吸血鬼」と呼ばれたりします)がいらっしゃる一方、苦手意識をもたれている方も多いのではないでしょうか?
これは、血液をうまくとれなかったときの罪悪感に加え、まれですが、失神や神経損傷といった重大な合併症が生じることがその一因だと思われます。
残念ながら、採血を必ず1回で成功させる秘技はありません。しかし、採血を安全に行うためのテクニックはさまざまあって、それを修得すれば、採血に対する苦手意識も薄れるかもしれません。
じつは、採血法についてはわが国にも20年前から『標準採血法ガイドライン』が存在しており、2019年3月に第3版が発行されました1。
看護師の方々の間では、まだまだご存じない方も多いかもしれません(これは、私たちガイドライン作成者の努力不足が大きいです)が、ガイドラインの普及にしたがって、現場でのプラクティスも少しずつ変わってきています。
昔は常識として習っていた採血法が、今では非常識になっていることもあるかもしれません。
本稿では、安全かつ正確な採血のためにどのような点について注意すればよいかを、最新のガイドラインにおける改訂点を中心に解説したいと思います。
採血の方法
●特別な理由がない限り、 ホルダー採血法を用いる
●注射器採血法使用時は、 専用の分注用安全器具を用いる
●翼状針採血により、 採血成功率が上がり、 神経損傷のリスクが下がる
ホルダー採血法では、 針刺しのリスクが注射器採血より少ない
皆さんは、ホルダー採血派と注射器採血派のどちらでしょうか?
これまでのガイドラインでは2つの採血法が並列して書かれていましたが、今回の改訂では、採血法の選択の問題にかなり踏み込んでおり、特別な理由がない限りホルダー採血法を用いることが推奨されたのです。
これは、注射器採血法のデメリット、なかでも針刺しのリスクが高まることを考慮したためです。
注射器採血では採血管へ血液の分注を行う際に、採血管をもつ手に誤って針を刺してしまう事例が後を絶ちません。ホルダー採血法ではこの作業がないぶん、針刺しのリスクは圧倒的に少ないのです。
それ以外にも、注射器採血法では表1に挙げたようなさまざまな欠点があります。
一方、血管が細い場合や血液培養・血液ガス用の採血などの場合には、逆に注射器採血法を用いる必要があることも明記されています。では、そのような場合に針刺しを防ぐためには、どうすればよいでしょうか?
今回の改訂では、注射器採血後に採血管に分注する際には、専用の分注用安全器具を用いることが標準法として採用されたのです。これまでの、採血管に直接血液を入れる方法は、針刺しのリスクが高まるとして推奨されないことになっています(図1)1。
分注用安全器具の使用法については、ぜひガイドライン付属のDVDをご覧になって確認してください。
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1.日本臨床検査標準協議会標準採血法検討委員会編:標準採血法ガイドライン改訂版(GP4-A3).学術広告社,東京,2019.
採血の正しい手技―『標準採血法ガイドライン(GP4-A3)』より②に続く
この記事は『エキスパートナース』2020年9月号の記事を再構成したものです。
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